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国政責任者は大統領選に色目、予備選管理者はそんな国政責任者に擦り寄り

国政責任者は大統領選に色目、予備選管理者はそんな国政責任者に擦り寄り

Posted April. 30, 2025 09:08,   

Updated April. 30, 2025 09:08


大統領の権限を代行する韓徳洙(ハン・ドクス)首相の大統領選出馬決定が間近に迫っているようだ。韓徳洙氏の最側近である秘書室長が辞職したのに続き、広報室長や政務室長など核心参謀陣も韓徳洙氏と共に辞任するという話が首相室から既成事実のように漏れ伝わっている。韓徳洙氏が来月1日に辞任した後、2日に出馬を宣言する案が有力視されており、これら参謀陣を中心に大統領選陣営を組むということだ。

与党「国民の力」は、韓徳洙氏のこのような動きを後押ししている。権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長が、韓徳洙氏との会合が予定されている元老政治家に韓徳洙氏との一本化を助けてほしいと頼んだと報じられた。また、権性東(クォン・ソンドン)院内代表は29日、2次予備選で金文洙(キム・ムンス)、韓東勲(ハン・ドンフン)候補2人に絞られると、「1人が決定すれば、より大きな家を建てるために一本化予備選を行う予定だと承知している」と公然と予告までした。

大統領選を中立的に管理し、過渡期政府の国政を安定的に運営する責務がある大統領権限代行が、それも罷免された大統領の下で国政ナンバー2として3年間在職してきた人物が、「審判」ではなく「選手」として直接プレーすることが果たして国民の常識に合致するのかという指摘が多いが、韓徳洙氏も「国民の力」もこのような批判世論は意に介していない様子だ。韓徳洙氏が最終的にどのような決定を下すのか、出馬を宣言する場合、どのような理由と大義名分を掲げるのかは分からないが、国民の厳しい評価を避けることは難しいだろう。

韓徳洙氏側と「国民の力」との間で、一本化実現に向けた水面下の接触が既に本格的に行われているという観測も流れている。しかし、一本化予備選が実現したとしても、様々な法的、政治的論争が続く可能性が高い。韓徳洙氏が「国民の力」に入党して予備選で選出された最終候補と再予備選を行う場合、「不戦勝特恵」論議が起こりうるし、予備選で投票した党員が権利毀損などを理由に仮処分申請など法的に異議申し立てをする可能性もあるからだ。

今回の大統領選は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が違憲・違法な戒厳で罷免されて行われる選挙だ。にもかかわらず、「国民の力」と旧与党勢力が尹政権の失政と戒厳事態の責任に対する真摯な反省と省察もなく、一本化の選挙工学ばかり考えているのではないのか。最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補に対抗するための手段を全て動員しようという戦略だろうが、このようなやり方で国民の心をつかむことができるのか疑問だ。