カビで芸術作品を作るとしたら、どんなものになるだろうか。生命工学技術を芸術と結び付けた「バイオアート」が最近国内と海外で注目を集めている。
昨年12月、フランス・パリのシテ・アンテルナショナル・デ・ザール入居作家に選ばれたパク・チヒさんは、菌類を活用して「記録されていないミクロ的歴史」を視覚化する。ソウル永登浦区にある旧京城紡織事務棟の歴史を追跡したプロジェクト「省略された軌道」が代表的だ。建物のほこりを集めてカビ菌を探し出した後、透明なレジンの中にカビの色素物質を入れて染色した設置物などで構成されている。
人と生物間の相互作用を解析して音で表現した作品もある。昨年(2023年)、「ACTフェスティバル」に展示された「ミクロ的連結感覚」がまさにそれだ。韓国エネルギー技術研究院主任研究員出身の作家、キム・デヒさんの作品だ。観覧客が展示されたキノコに触れるとキノコにつながっているバイオ・フィードバック・センサーが人とキノコの間に流れる微細電流を感知し、これを音に変換して聞かせる。
バイオアートは技術と芸術間の融合が比較的早くから行われた欧米では、国内より先に芸術の一つに位置づけられた。2000年、ブラジル出身の作家エドゥアルド・カックはウサギの体内にクラゲの緑色蛍光タンパク質を注入して蛍光を発する遺伝子組み換えウサギ「GFPバニー」を発表した。米国出身作家のハンター・コールは、自ら光を放つバクテリアで絵を描く。明るく輝いていた作品は、バクテリアが死んでいく2週間、徐々に光を失い、生命の循環を見せてくれる。
バイオアートは人間と生態系間の見えない関係を表わすという点で意味がある。パク・チヒさんは「人々はカビを『なくすべき存在』と認識するけど、カビを芸術として見た観覧客はこれもやはり人間中心的な考え方であることに気づく」とし、「バイオアートは、人間と多様な生物群との共存方式について質問を投げかける」と話した。
ファン・インチャン記者 leemail@donga.com