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労使のどちらも不満の最低賃金、まずは生産性を高めて危機克服から

労使のどちらも不満の最低賃金、まずは生産性を高めて危機克服から

Posted July. 01, 2022 09:16,   

Updated July. 01, 2022 09:16

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最低賃金委員会は、来年度の最低賃金を、今年より5%高の1時間当り9620ウォン、月201万580ウォンと決めた。労使を代表した委員たちの意見の差が縮まらないと、公益委員たちが出した案を採決で可決させ、8年ぶりに法定期限に間に合った。だが、終盤まで18.9%の引き上げを要求した労働界と、凍結や小幅調整を望んだ経営界は皆強い不満を示している。

来年の最低賃金の引上げ率は、今年の5.1%と似た水準だ。5年間で最低賃金が41.6%も上がったうえ、ウクライナ戦争などの影響で、原材料や食材価格が高騰し、困難に直面している中小企業や自営業者の事情を考慮すれば、物価上昇を大きく上回る引き上げは難しい状況だ。最低賃金の上昇は、上位賃金労働者の連鎖的賃金引き上げ要求にもつながる。このため、政府の意見を事実上代弁する公益委員らが、韓国銀行の消費者物価の上昇率予測値の4.5%より少し高く、1時間当り1万ウォン台を超えない水準で決定したものと見られる。

物価高騰で賃上げ要因が生じたのは事実だ。しかし、5%引き上げさえ耐え難い事業者が多いというのが問題だ。5人未満の事業所3ヶ所に1ヶ所は、職員に最低賃金すら払えない状態だ。刑事処罰を受けるかもしれないのに、支給する能力がないのだ。週5日、15時間以上働く時に一日分をさらに与える週休手当てまで含めれば、来年の実質最低賃金は1時間当り1万1555ウォンになる。1週当り「14.9時間」に細かく分けた超短期雇用がさらに増える可能性が高い。

数年間にわたり、他の先進国より急激に上昇した最低賃金は、職員を解雇して一人で働く「独り社長」の増加など、多くの副作用を招いてきた。他方では、最低賃金が上がると、職員がサービス業種に抜け出した影響で、造船業者などの製造業者の人手不足が深刻になっている。会社員の昼食価格が上がる「ランチフレーション」は、今回の最低賃金の上昇でさらに激しくなるだろう。

物価上昇と景気低迷に同時に見舞われるスタグフレーションの危機の中で、最低賃金の引き上げの衝撃に対処する道は、企業と労働者が協力して生産性を引き上げることだけだ。未曾有の「経済ハリケーン」が迫っているのに、労使が賃金争いだけを続けるならば、企業は不良化し、働き口は減る悪循環に陥ることになる。今回の最低賃金の議論から除外された業種別差別化や、他の先進国にない週休手当て制の廃止など、賃金制度の改善作業にもやはり拍車をかけなければならない。