人類は長い進化を通じて多様な気候環境に適応してきた。著者はこの事実を少し違った見方で捉えている。人類の進化は体温調節のための旅程だったという。毛がなくなり、火を使い、服を作って着たり、家を建てたり、他人と一緒に交流したりする一連の変化が、体温調整のための選択から始まったという。
実際、著者は人間の感情や関係、言語などが体温と気温によってどれほど変わってくるのかを指摘している。ポーランドで80人の学生を集め、それぞれ違う文章を読ませた。一つは温かくて優しい人を描写した文章で、もう一つは有能で冷徹な人に関するものだった。文章を読ませた後は、現在の室内温度を推定させた。その結果、先の文章を読んだグループが後者より室内温度を平均2度高く推定した。また、オンラインゲームで所属感や疎外感を感じさせた後、指の体温を測ってみたが、疎外感を感じた人々の体温がそうでないグループより平均0.4度低かった。
これは物理的温度は社会的温度の認識に影響を与え、社会的温度もまた物理的温度に影響を与えていることを示している。著者は実際、気温が下がると、人々が売りに出された住宅をより多く契約するという研究結果を挙げ、甚だしくは住宅をよく売る能力も体温と関係があると言う。家の第1の課題は、生命を脅かす寒さから自分と周りを保護する体温調節道具だからだ。このような事実は非接触のがライフスタイルが増え、温かい一言も期待できなくなった時代に、人間という「種」の存在を考えさせられる。
キム・テオン記者 beborn@donga.com