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世界に3点だけの高麗「母子盒」が日本から返還

世界に3点だけの高麗「母子盒」が日本から返還

Posted July. 03, 2020 08:32,   

Updated July. 03, 2020 08:32

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高麗を代表する螺鈿漆器の遺物である「高麗螺鈿菊唐草文盒」が日本から帰ってきた。全世界に3点しかない高麗時代の母子盒(大きな盒の中に小さな盒が入った形の盒)の一つだ。韓国国内で初めて母子盒形態の螺鈿盒を保有することになった。

文化財庁は2日、国外所在文化財財団を通じて、昨年12月、日本から買い取ってきた螺鈿盒をマスコミに公開した。長さが10センチ、重さが50グラムの手のひらより小さい螺鈿盒で、大きな盒(母盒)に入る子盒である。中央の花の形や円形の盒を周辺で包み込む同じ子盒4つのうちのひとつで、完全な形を維持している。同じ形の螺鈿盒2点は、それぞれ米メトロポリタン美術館と京都のとある寺院で所蔵している。母盒の中央に置く子盒2点までを含めれば、世界には5つの完全な高麗時代の螺鈿盒が残っている。

この螺鈿盒は、日本の個人ギャラリーで所蔵していたもので、国外所在文化財財団が昨年2月から説得に乗り出して12月に取り寄せた。2006年9月〜2008年8月に国立中央博物館の「螺鈿漆器-千年を受け継いできた光」の特別展を通じて国内に公開された。2018年から財団側が本格的に返還を推進した。

チェ・ウンチョン国外所在文化財団理事長は、「日本には高麗螺鈿漆器10点余りが残っているが、そのほとんどが国の指定文化財なので、今回の螺鈿盒だけを買い取りの形で返還することができた」とし、「もし購入決定が遅れたら、日本で文化財に指定されたかもしれない緊迫した状況だった」と説明した。

返還された螺鈿盒は、アワビの殻と玳瑁(ウミガメの甲羅)、金属線などを利用して菊の花とつる模様を刻んで入れたのが特徴である。蓋の柄の中央の大きな花柄は、高麗螺鈿漆器の代表的手法である玳瑁伏彩法が使われた。玳瑁を非常に薄く磨いて半透明状態の板にした後、内側に塗料を塗って色がほのかに映るようにする手法である。子盒の枠にきっちり打ち込んだ丸い装飾は、アワビの殻で作った。高麗時代、宋の使臣である徐兢は、「高麗図経」で螺鈿漆器について「極めて精巧で手技が細かく、極めて貴重だ」と賛辞を送った。

高麗螺鈿漆器の遺物は、素材の特性上、湿気などによる破損のリスクが高く、そのほとんどが失われたことが分かった。母子盒の形態など、全世界に残っている螺鈿漆器は、破損品を含めて22点だけである。完成品は15点に過ぎず、そのほとんどを米国、日本が保有している。

今回の返還により、既存の「螺鈿菊唐草文拂子」「螺鈿經函」と共に、計3点の高麗螺鈿漆器の遺物を国内で保有することになった。帰ってきた螺鈿盒は、12月22日から国立中央博物館の「古代の色、漆」の特別展で一般に公開される予定だ。


崔고야 best@donga.com