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「惨い事変」と脅す北、実務協議を超えて米朝首脳同士の駆け引きは禁物だ

「惨い事変」と脅す北、実務協議を超えて米朝首脳同士の駆け引きは禁物だ

Posted October. 08, 2019 09:03,   

Updated October. 08, 2019 09:03

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米朝実務協議の北朝鮮側代表を務めた金明吉(キム・ミョンギル)外務省巡回大使は昨日、帰国の途中の経由地である北京に到着し、「今後の会談は米国側にかかっている」とし、「今会談は吐き気がする」と話した。その上で「米国の方で十分な準備ができていなければ、どんな惨い事変が起きるかわからないことだ」と脅した。スウェーデンのストックホルムでの実務者協議が決裂した責任を米国に転嫁しながらも核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射も再開できるとして再三威嚇したのだ。

北朝鮮の態度が交渉を決裂させたのか、あるいはより大きなものを引き出そうとする戦術なのかは見守るべきだ。だが瀬戸際交渉で有利な位置に立とうとするのは北朝鮮の常とうの手法だ。今回北朝鮮は、米国に敵視政策を「完全で取り返しのつかない形で撤回する実質的な措置」を先に取ることを要求した。すでに、先月「制度(制裁)安全」を要求しながら探りを入れた北朝鮮だが、米国が要求する「非核化が先決」に対抗して、体制安全の保障を先決条件として掲げたものだ。

今回の実務者協議の決裂は今年2月ハノイ会談の決裂に対する北朝鮮流の仕返しとみられる。トランプ米大統領がハノイで北朝鮮に廃棄すべき施設のリストを突き付けて交渉の土俵を揺さぶったように、北朝鮮も今回は米国が示した「クリエイティブなアイデア」や柔軟な姿勢に、探りを入れては要求内容のハードルを大きく上げることで、あたかも借金の返済を催促するかのように前金から払うよう迫る態度で交渉の土俵を揺さぶった格好だ。こうした手法を使って北朝鮮が狙っているのは明らかだ。収穫のない実務者協議は飛ばして、首脳同士の直談判イベントに持ち込もうとしているのだ。

北朝鮮は当面、さらなる実務者協議を拒否しながら強気の態度を保つ可能性が高い。再び交渉の場に出ても、首脳同士の直接交渉だけを催促するだろう。こういう結果になった背景にはトランプ氏も一躍を買った。度重なるミサイル挑発を容認し、北朝鮮に自信をつけさせた他、実務者協議の後には首脳会談を開くことを既成事実化する過去の過ちを繰り返した。今からでも米国は実務者協議で合意書が完成しなければ首脳会談はあり得ないことを明確にするべきだ。そうしなければ、実務者協議は毎回収穫もなく物別れに終わるだろう。