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素材部品の支援に乗り出した政府、職人が育たない構造を変えるべきだ

素材部品の支援に乗り出した政府、職人が育たない構造を変えるべきだ

Posted August. 30, 2019 09:56,   

Updated August. 30, 2019 09:56

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中小企業の役員が、自分も聞いた出来事だと言いながら、このような話をしてくれた。元請会社の役員がお酒の席で下請け会社の関係者らに爆弾酒を回しながら「それぞれ納入単価をどこまで下げられるか言って見よ」と話した。最初の一杯が回るときは5%、二杯目が回るときは7%、3杯目が回るときは9%と、単価がぐんぐん下がっていった。杯を回していた役員が、「9%なら十分ではあるが、私の分がないね」と言ったので、単価の割引率は10%と決まった。

やや誇張された数年前のエピソードだが、元請会社は納入単価の過度な割引で不当な利益を得ようとし、下請け会社は何とか大企業に納入してこそ食べていける後進的産業構造を示している。この構造を詳しく見れば、供給対象である部品の種類と量を決定する方は、需要者の大企業だ。注文に応じて、供給者である中小企業は日本に走って行って、他人より先に部品を取り寄せるか、施設を買ってマニュアル通りに製品を作る。このような需給構造で、中小企業は技術力のある職人より雇用と解雇の容易な安価な労働力を好む。第1世代で技術を蓄積できなかった中小企業は、第2世代に進みながら、もはやビジョンは探すことができず、企業を処分して現金化することを先に考える。下請け会社の2世たちの中に金融専攻者が多いことにはこのような背景もある。

部品素材の需給が垂直的に行われる市場では、技術開発よりは、元請-下請の垣根の中にある既得権層がすべて「地代(レント・独占利益)」を追求する傾向が現れる。地代の大きさに違いはあるだろうが、この垣根の中では、中小企業だから免罪符を得るのではない。大小の既得権を巡る戦いを繰り広げることで、カルテルは複雑で敵対的な共生関係に変質する。大企業が国内素材部品企業を育成せず、外国から材料を取り寄せて使ったために、日本の輸出規制を招いたという政府と政界の認識は、大手― 中小企業を強者と弱者の関係で単純に見るからだ。

日本が韓国産業構造の弱い輪につけこんだのが、経済報復だ。私たちとしては、古いカルテルを壊さなければならない問題と入り混じっているので大変だ。素材部品機器のサプライチェーンの安定に今後3年間で5兆ウォン以上を投入するという政府対策は、資金面で必要だが、垣根の中のカルテルを壊すには力不足だ。技術開発の持続性を担保できなければ、誰かは予算の食い逃げをするかもしれない。大手―中小企業の共栄協力生態系の構築案を見ると、垂直納入構造まで手を付けるつもりはないように見える。今、私たちに必要なのは、大企業が中途半端な技術を購入する社会的責任ではなく、世界の誰もが買いたくなる独自技術を確保することだ。

日本の経済報復以降、韓国の戦略は、グローバルサプライチェーンが崩れ、日本企業も否定的な影響を受けるだろうという説得作戦だった。論理的だったが、その影響は期待していたほどではなかった。技術開発を続けることが、国益だけでなく社益のためにもよいという認識が、私たちの内側から広がるべきだ。技術開発中の企業が経営権を継承するとき、相続税をひとまず見合わせ、2世が独自の技術で上場後、企業を売却する時に税金を一度に課すインセンティブを与えることもできるだろう。韓国は必ず技術的に独立するというメッセージは、込み上げる感情ではなく、説得力のある政策から出てくる。


legman@donga.com