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行動主義芸術家のレモン電球

Posted August. 08, 2019 09:09,   

Updated August. 08, 2019 09:09

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黄色い電球がレモンに差し込まれている。好奇心の多い子供のいたずらなのかと思われがちだが、20世紀のドイツ美術の巨匠ヨーゼフ・ボイスの作品だ。さらに言えば、彼が晩年に制作した最も重要な作品の一つだ。巨匠はなぜ黄色い電球のソケットをコンセントではなく、レモンに差し込んだのだろうか?

理由はただ一つ、黄色い光を放つエネルギーを得るためだ。とんでもない発想のような気もするが、ボイスはこの作品を通じて、現代文明の生態学的調和に関する質問を投げかけている。彼はこのバッテリーが、芸術と自然、科学の融合を意味しており、このように得られた新たなエネルギーが、より良い社会を創造できると信じていた。1985年、ボイスは200個以上のレモン電池を作った。当時、彼は肺疾患の療養のため、南イタリア地中海のカプリ島に滞在していた。電球の明るい黄色は、カプリ島で見た活気あふれる環境と地中海の明るい日差しを象徴する。病気で死に近づきながらも、彼は黄色いレモン電球のように強烈で、暖かいエネルギーがあふれる明るい世界を切に望んだ。作品に伴う指示には、「1000時間ごとに電池を交換してください」と書かれているが、電球は絶対に電源を入れることができないので、交換されることもない。これは自然から発生したエネルギーを大切にうまく使って、永久循環されるようにしようという彼のメッセージを含んでいる。また、作品は作家の生涯の関心事だったエネルギー、暖かさ、治療および環境への関心をすべて反映している。ドイツ初の環境政党である緑の党の創立発起人として活動するほど、環境運動にも深く関わっていた彼は、芸術と生活の一致を追求した積極的な行動主義芸術家だった。

「すべての人は芸術家だ」と主張したボイスは、レモン電球のように固定された芸術概念を拒否し、芸術と日常、自然と文化の境界に挑戦した数多くの作品を制作した。自分をシャーマンと呼びながら、美術を通じて個人と社会の傷を癒し、より良い世界を作ろうとしたが、作家自身はエネルギーを回復できず、カプリバッテリー制作から1年後に、64歳でこの世を去った。