
ボツリヌス症とは、ボツリヌス菌が作る毒素のためにかかる神経麻痺性食中毒だ。特に生後1年未満の乳児だけから現れる乳児ボツリヌス症は、赤ちゃんがこれらの毒素に汚染された食べ物を食べたときに発症する。
今回死亡した日本の赤ん坊は、約1ヶ月前から一日に2回ずつ、離乳食として食べる野菜や果物ジュースに蜂蜜5グラム(小さじで1スプーン)ずつを入れたものを食べたことが明らかになった。西江(ソガン)大学自然科学部の李悳煥(イ・ドクファン)化学専攻教授は、「蜂蜜はボツリヌス菌の胞子が育つところの一つであり、この細菌が作る毒素を抱えている可能性がある。ボツリヌス菌自体は安全だが、この細菌が作る毒素は乳児には危険なことがある」と説明した。
米食品医薬品局と疾病管理センター、米国小児科学会は10年前から、「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはいけない」と勧告している。日本も同様に国のレベルで、自国製品には必ず警告を入れるなど、乳児の蜂蜜服用禁止を指導しているのに、今回初めて死者が出た。子供の親はとある日本メディアとのインタビューで、蜂蜜服用の危険性を全く知らなかったと語った。
大人は肝臓の解毒作用により、蜂蜜やコーンシロップに含まれている極微量のボツリヌス菌が放つ毒素を、体外に排出できる。しかし、肝機能が未熟な乳児は勝手が違う。まだ分解していない毒素が小腸に吸収されると、神経麻痺の症状まで出かねない。
ボツリヌス菌の胞子は熱に非常に強く、100℃で6時間以上加熱しなければ殺すことができない。家庭の一般的方法で蜂蜜の中のボツリヌス菌を殺すことは難しい。乳児ボツリヌス症の前兆症状として便秘になりかねない上、行動が遅くなり、唾を流し、いつもと違ってまぶたがたるむ姿を見せる。ひどい場合は、呼吸困難で気道が狭くなって死亡に至る。
クォン・オギュン小児青少年科専門医は、「誤って乳児に蜂蜜を食べさせた場合は、子供の状態を注意深く観察して、蜂蜜を溶かすことのできるお湯をたくさん飲ませるのがいい。今からでも危険性を知って、一歳前は絶対蜂蜜を与えてはならない」と呼びかけた。
염지현 ヨム・ジヒョン記者 ginny@donga.com