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[オピニオン]外交官の密輸

Posted May. 03, 2011 06:02,   

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工芸品の材料として任期が高い象の象牙は需要は多いが供給が足りないため、闇取引が横行している。価格も高い。闇取引の相場は1キロ=1800ドル(約190万ウォン)程度だ。最近は、アフリカに大挙進出した中国企業ら象牙に目とつけており「中国の急浮上がアフリカゾウを殺している」という話まで流れている。国際社会はゾウなど絶命の危機に置かれたか保護を必要とする野生動植物の過度な捕獲や取引を制限するための協約(CITES)を採択したが、金儲けだけにしか目がない闇取引業者らには何の効き目もない。米国議会の報告書によると、年間闇取引される保護種動物の商品市場の規模は200億ドル(約21兆ウォン)を超える。

◆アフリカ地域で公館長を務めて、任期を終えて最近帰国した外交官のP氏が、引越し荷物の中に象牙16個を入れて持ち込もうとして税関に摘発された。全体の重さが60キロと言うから、闇相場で換算しても1億ウォンを超える量だ。わが国がCITESに加入した1993年以降、象牙の密輸が摘発されたのは初めてだ。それも外交官による密輸というから、国のメンツは丸つぶれだ。P氏は「現地の人に引越しの荷造りを頼んでいたので知らなかった」と主張しているが信じ難い。

◆北朝鮮外交官らは、1980年代から密輸で悪名高かった。金塊、ダイヤモンド、象牙、タバコ、麻薬などカネになることなら対象を選ばない。外貨稼ぎや現地の公館の不足する運営費に当てるためだったり、外交官個人の蓄財が目当てだったりと、密輸の目的も様々だ。外交官たちに付与された免責特権を犯罪の盾に悪用しているのだ。北朝鮮外交官による密輸事件が起きる度に、我々は「民族の恥」だとして恥かしく思った。

◆外国旅行が自由でなかった時代に記念品として象牙のハンコを作ってくることがあった。絶滅危機の動物保護意識が拡散されてから、一般人も象牙の記念品を買ってくることはなくなっている。象牙の1、2個なら記念品のコレクションとも受け止められるが、16個となると商売が目当てだったと疑わざるを得ない。劣悪な環境のなかで、苦労しているアフリカ勤務の外交官たりを挫折させる事件だ。上海総領事たちの不倫騒ぎが発覚して間もない時期に、外交通商部に恥をかかせた。韓国外交官たちの全般的な綱紀の緩みとも無関係ではないはずだ。

李進寧(イ・ジンニョン)論説委員 jinnyong@donga.com