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[オピニオン]沈黙

Posted December. 26, 2009 08:47,   

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昔、中国に口が達者な張儀という人がいた。あちこちをさ迷って、宰相の食客になった。ある日、王が与えた珍しい玉を人前で披露する宴会が開かれた。ところで、玉がまんまと盗まれ、貧しい張儀が犯人に疑われた。彼は数え切れないほど叩かれながらも、最後まで沈黙した。宰相は失神した彼を仕方なく解放した。彼は死体同然になって帰った後、妻が聞くことには答えもせず、舌を出して、舌があるかどうかだけを聞いた。「舌はありますよ」と妻が答えると、「だったらいい」と言った。彼は結局、舌一つで宰相にまでなった。視吾舌という故事だ。

◆張儀は沈黙する時と話す時をよく区分する機知のおかげで、宰相にまで出世したケースだ。昔から伝わっている「沈黙は金、雄弁は銀」という言葉がいつも真理ではないようだ。人によって、状況次第で多様な意味を持つのが沈黙だ。時には「同意」「白状」「承諾」を意味するが、「反対」「無視」「拒否」の意味を持つ場合もある。状況に応じて適切に使わなければ、禍をもたらしたりもする。記者らは、政治家や政府高官、事件関係者の「ノーコメント」を間違えて解釈し、とんだニュースのネタになったりるするのは、沈黙のそのような妙な属性のためだ。

◆自分の考えを正確に伝えるのが難しかったり、本音がばれる恐れがある時、言い訳やウソに誤解されかねない時には沈黙が有用かも知れない。捜査や裁判過程での供述拒否権は、沈黙を守る自由を法的に保障しているのだ。5万ドルの収賄疑惑が持たれている韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相が先週、検察の対質尋問で沈黙で対応したのは、供述がかえって不利に働くと考えたためだろう。問題の首相公館の昼食会に同席していた丁世均(チョン・セギュン)民主党代表が、しばらく沈黙で終始したのも同じ理由からだっただろう。

◆丁代表は、一昨日、沈黙を破り、対政権闘争を宣言した。側近の2万ドル収賄説は捏造で名誉毀損であるため、黙ってはいられないというわけだ。しかし、首相公館での昼食会に参加した経緯や人事請託関連疑惑については相変わらず口をつぐんでいる。検察も法廷戦略のためか、韓氏を調べた以降はずっと沈黙している。真実は裁判が始まって、し烈な法廷争いが展開されてから明るみになりそうだ。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com