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[オピニオン]反戦の母

Posted August. 22, 2005 03:11,   

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「問題のある息子がいる。母は息子にばかりこだわる…」。KBS第2テレビの週末ドラマ「両親への戦傷書」での葛藤構造である。「血は水よりも濃い」と言うが、関係によってその濃度は違う。パパは外ばかり向く、ママの母親は娘に同情し婿を憎む、パパの母親は息子が気の毒で嫁が憎い。葛藤のあげく夫婦は離婚するが、ドラマらしく、家族の深い絆に気づくという結末となった。現実もだいたいこのドラマのようなものだろうか。

◆イラク戦争で海兵の息子を失い、ブッシュ米大統領のクロフォード牧場前で、12日間1人でデモを行っていたシンディー・シーハンさんが現場から離れた。74歳の母親が脳卒中で倒れたという連絡を受けたからだ。「反戦の母」「平和の母」として世界の注目を集めるほど強い母性愛を見せた彼女だった。それでも年老いた母親にしてみれば、ただのかわいそうな娘だったはずだ。もちろん、ロサンゼルスの病院に向かいながら、母親の病状がよくなれば、デモを続けるとも言った。

◆一人でデモをやっている間に、高校のころ恋におちて28年間ともに暮らしてきた夫が離婚訴訟を起こした。妥協できない相違があるためだと言っているが、戦士した息子に対する政府の補償金と保険金を受け取るためだという言葉も聞こえてくる。夫の実家の人は、「我々はイラク派遣米軍と大統領を支持し、シンディーの政治的動機と戦略に同意しない」という電子メールを地元新聞に送った。下の息子まで、母親は帰ってくるべきだとインタビューに答えた。お腹を痛めて子を産んだ母親でない彼らは、母性愛を理解することができなかったのだろうか。

◆シーハンさんへの評価はまちまちである。ごう慢な王様に立ち向かった古代ギリシャ悲劇のアンティゴネのようだ。彼女の行動が米軍の撤退日程を繰り上げる起爆剤になるなど、賛辞を送る勢力があるいっぽう、純粋な行為だとは思えないという批判も少なくない。政治的イデオロギーと価値観、各自の事情と環境によって、当然、家族でも考えが違うことがある。誰か一人だけが正しいとは言いがたい。これが現実の世界だ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com