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[オピニオン]松の木のエイズ

Posted April. 04, 2005 23:06,   

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高麗(コリョ)の肅宗(スクジョン)時代である1100年から3年間は、松の病虫害による被害が深刻だった。国は虫をなくすために軍事を動員し仏経を唱えるなど、ありとあらゆる努力を傾けたが、これといった効果がなかった。多くの臣下がある日、王に告げる。「私どもの力不足で、病虫害の被害を防ぐことができませんので、徳のある人を登用し、徳の不足な者は退くようにしてください」。松の木が枯れ死んでいくと、内閣が総辞職の意志を明らかにしたわけだ。

◆朝鮮時代の松の木重視政策は緻密な「計画造林」につながった。朝鮮白磁のような高級な陶磁器を作るためには松の木を焚き物で使わなければならなかった。王室は6ヵ所に大規模な松の森を造成し、10年ずつ代わりながら木を切って王室で使う陶磁器を焼き出した。松の木を伐採したところには再び幼い松の木を飢えて50年先に供えた。松の木を大事にしたのは効用価値のためだ。韓屋は松の木材がないと建築が不可能であり、家具、生活用品、農機具の原材料も松の木だった。

◆子どもが生まれれば、松の枝で金の縄を作り、ソンピョン(松餅)と茶食、松葉酒を楽しみ、死んだ後は松の畑の前に埋もれた。わが民族は一生、松の木と絆を持ちながら生きてきた。松ノ木は五感で感じるという。松の木の気品は絵画の素材になるに値し、風と松の木が一緒に作り出す松の風の音はさわやかな趣で一杯だ。頭を清くする松の香り、柔らかい感触はすっぱい味と共に松の木を審美的な境地に昇華させる。

◆そうした韓国の松の木が危機を迎えている。松の木を枯れ死なせる1mm大の虫が南側から松の森をかじりながら、早い速度で北上している。伝染されれば、全ての木々が枯れ死ぬ致命的な害虫だ。「松の木のエイズ」というニックネームが付けられたほど恐ろしい害虫だ。植木の日を迎えて、木々を植えることに劣らず格別な警戒心を持つ必要がある。政府も「内閣辞退」まではいかなくても、特段の覚悟で臨まなければならない。松の木を失うのは、まさに我々のアイデンティティまで失うことではないか。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com