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海外不動産投資で巨額損失発生、複合金融危機の引き金となるか

海外不動産投資で巨額損失発生、複合金融危機の引き金となるか

Posted August. 02, 2023 07:51,   

Updated August. 02, 2023 07:51

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グローバル経済が好況期だった2010年代に行われた韓国金融機関の海外不動産への投資が、相次いで問題となっている。コロナ禍以降、在宅勤務の拡大で世界主要都市のオフィスビルの空室率が高騰し、金利まで上がり収益どころか投資元金まで失う危機に直面している。韓国国内の金融機関の引き金に挙げられる不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不良債権化に続き、海外不動産の投資損失が今年下半期の最大の金融リスクとして浮上している。

米ニューヨーク・ブロードウェイにある「アメリカンイーグルリテールビル」に2017年に1億400万ドルを投資したイージス資産運用は最近、投資金の全額を損失として処理することにしたという。投資に共同で参加した他の国内金融機関も、数百億ウォンずつ損をすることになった。最近、ニューヨークなどのオフィスビルの空室率は、過去最高の20%前後に高まり、価格と期待収益率が暴落している。

国内資産運用会社や保険会社などが、ワシントンや英国ロンドン、ドイツ・フランクフルト、香港などに投資した大型ビルでも、相次いで不良が発生し、投資額の多くを失う可能性が高まっている。韓国金融機関だけでなく、世界最大の資産運用会社であるブラックストーンも、数十%ずつ損をして不動産を処分している。パンデミック以降、先進国企業の働き方の変化、米連邦準備制度の基準金利の引き上げが、世界商業用不動産市場を直撃している。

72兆ウォンにのぼる国内金融機関の海外不動産ファンドの設定額のうち、30兆ウォンが3年以内に満期になる。来年満期のファンドだけでも11兆6000億ウォンだ。直接・間接的に投資した金融機関の大規模な投資損失と、これによる業績悪化は避けられなくなっている。損失が発生した時、一番先に返済を受ける先順位投資の代わりに、高危険・高収益を追いかけて中順位の「メザニン投資」を拡大し、入居企業の好みが落ちる老朽化したビルを買い入れたことも問題だ。投資利益を最大化しようとしたあまり、危機に瀕した時、損失最小化が重要な代替投資の基本原則を守れなかったのだ。

韓国の金融機関はこの10年間、海外不動産への投資を増やしてきたが、グローバル経済環境が急変する時にリスクを管理した経験は大変不足しているのが現状だ。金融当局は、海外不動産の投資不良が国内金融リスクと重なり、「複合金融危機」に発展する可能性をあらかじめ遮断する必要がある。金融機関別の海外投資の現状を正確に把握して透明に公開する一方、引当金を十分に積み上げて備えなければならない。