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また始まった「スーパー円安」の空襲

Posted July. 28, 2023 08:23,   

Updated July. 28, 2023 08:23

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クイズを一つ。韓国の経済成長率が12.3%を記録した1987年、輸出増加率が30.3%だった95年、製造業成長率が7.3%を記録した2011年など、韓国経済が好調だった3年間の共通点は何だろうか。

答えは「円高」だ。1980年代以降、韓国経済が活況を呈する時は、概ね円高という追い風があった。韓国と日本は産業構造が似ており、国際市場で競争する製品が多いが、円高は日本製品の価格競争力を低下させた。韓国の輸出企業にとっては成長の機会をつかむことができた。

しかし、円高が終わると厳しい苦難の道が待っていた。96年に円安が始まり、韓国企業の輸出が急減し、その年の経常収支赤字は史上最高水準の230億ドルに達した。経済は急速に冷え込み、企業の負債負担は大きくなり、韓宝(ハンボ)鉄鋼のような大企業が次々に倒れた。当時の円安は、通貨危機を招く一つのきっかけとなった。

不快な話を持ち出すのは、最近、円安が再び始まったからだ。今年初め、100円の価値は940~1000ウォン程度だったが、先月900ウォン台前半に急落し、今月初めには800ウォン台まで下落する「スーパー円安」現象を見せた。産業研究院は、ウォン-円相場が5%下落すれば、その年の韓国の輸出額は1.1~3.0%減少すると推定する。

ただ、現在、韓国企業の悲鳴はそれほど大きく聞こえない。「過去より日本との競合が減った」、「日本から輸入する部品価格はむしろ安くなった」など、あまり影響がないという反応も多い。代表的な例が半導体企業だ。1980年代に半導体王国を築いた日本は、その後、投資を怠り、今では半導体業界で名だたる企業が姿を消した。サムスン電子とSKハイニックスがDRAMを輸出する際、日本製品と競合しないため、円の影響を受ける理由がない。

かつて円安の直撃を受けた自動車業界も余裕があるようだ。韓日の自動車企業が直接競合する米国市場で、現代(ヒョンで)・起亜(キア)自動車は今年上半期、前年同期比17%増加した販売実績を上げたが、同期間、トヨタは0.7%減少した。韓国車の商品性とブランド価値が上がり、電気自動車分野で韓国が圧倒的に優位に立った結果だ。

しかし、「韓国経済が円安の影響から解放された」と自信を持って言う企業人がいないのも事実だ。円安がもたらす不確実性が大きいからだろう。特に為替リスクに備える能力が低い輸出中小企業は、直接的な打撃を受ける可能性がある。日本に輸出し、円で代金を受け取る中小企業であれば、利益が大幅に減少するのは必至だ。鉄鋼、化学、電子、部品など日本との競争が激しい分野は、円安が長期化すればするほど価格競争力が劣ることになる。先月、日本銀行の植田和男総裁が、「金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、粘り強く金融緩和を継続していく」と話したことを考えると、円安現象が短期間で終わるとは思えない。

予想外の衝撃が2、3年後に来る可能性もある。前例を見ると、日本企業は円安時に輸出量を増やして市場シェアを拡大するよりも、利益を増やすことに力を入れた。そうして得た現金で研究開発(R&D)や製品の革新に投資した。円安を活用して体質を強化しているのだ。2、3年後、その成果が出始めれば、その時こそ韓国企業に真の危機が訪れるかもしれない。