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中世の老いた女性

Posted August. 27, 2020 08:25,   

Updated August. 27, 2020 08:25

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100歳時代、長生きするよりも気品を持って老いることが重要になった。ルネサンス時代、老人の立場は低かった。富を蓄積した男性は年を取っても権力を享受したが、貧しい老いた女性は冷遇された。若い女性は常に美しさの象徴として賛辞を受けたが、年老いた女性は醜さの代名詞だったばかりでなく、しばしば魔女として描写された。

16世紀、ベルギーの画家クエンティン・マサイスが描いた「醜女の肖像」は衝撃的だ。飛び出した額、低い鼻、肥大した長い鼻の下、弛んだ顔にしわに至るまで、まるでSF映画の特殊メイクをした俳優のようだ。ぎゅっとしめた口の中の歯はみな抜けたようで、顔はゴリラのようだった。当時の流行からはかなり遅れたスタイルだが、女性は貴族のように優雅に着飾っている。頭にはハート形の大きな帽子をかぶり、肩まで覆われた白いヴェールは宝石で飾られた金のブローチで固定されている。襟ぐりの深いドレスからは萎んだ乳房をのぞかせ、手には咲いていない赤いバラを持っている。今、彼女は性的魅力を発散させ、男性を誘惑しているのだ。

 

どこかで見たようではないか。そうだ。1865年に出版された『不思議の国のアリス』の公爵夫人のキャラクターのモデルになった肖像画だ。正確な身元は分からないが、15世紀、フランス・ブルゴーニュに住んでいた虚栄心の強い公爵夫人を描いたとされている。

画家はなぜ一世紀前に生きた公爵夫人を描いたのか。おそらく彼女が醜さと虚栄心を代弁するためだろう。質問を変えてみよう。老婆はなぜ容貌と性的魅力のアピールにそれほど力を入れたのか。老いを認めたくないからだ。疎外と排除を恐れるためだ。女性性を失いたくなく、魔女と誤認されたくない苦闘である。現代医学者は、夫人が骨が変形する恐ろしい病気にかかったと推測している。だからだろうか。老いて病気にかかっても容貌だけに執着する老婆がなぜか哀れにみえる。