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怒りと敬意

Posted August. 25, 2020 08:28,   

Updated August. 25, 2020 08:28

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第2次世界大戦を通じて、ドイツだけでなく全世界に名を馳せた戦車は、ドイツの怪物戦車「ティーガー」だろう。軽量戦車が約20トン、中型戦車が約40トンだった時、ティーガーの重量は60トンだった。重ければ優秀というわけではないが、この重量が装甲の厚さを意味するなら話は別だ。装甲が盾なら、槍に該当する戦車砲はドイツの伝説的な対戦車砲だ。世界のいかなる戦車も撃破でき、長距離の正確度も最高だった88ミリ砲。この砲を使ってドイツの砲手たちは1500メートルの距離から敵の戦車に命中させることができたという。

このティーガーに乗って150台以上の戦車を撃破したエースが、オットー・カリウス中尉だ。彼の回顧録にこのような話がある。

 

ソ連戦線から後退する時、カリウスのティーガー中隊はある歩兵部隊とともに後衛からドイツ軍本隊を援護する任務に就いた。ある村に駐留していた時、ソ連軍が夜間に奇襲攻撃を強行した。ソ連の戦車は砲撃を加えて村への進入を図った。ティーガーは全て撃破したが、気を取られている間に別の戦車が静かに村に進入した。その戦車は、ドイツのティーガーと衝突したため位置が明らかになり、ドイツ軍の攻撃で装甲が貫通された。

 

翌日、ドイツ軍の歩兵が戦車に近づくと、突然、戦車の中から手榴弾が飛んできた。ソ連の戦車兵は生きていて、最後までドイツ軍と戦った。怒ったカリウスは、その粘り強いソ連軍の兵士に対して激しく罵ったという。しかし、その次にこう言った。「今のは、私の考えとは違う」

多分、彼の奮闘と敢闘の精神に敬意を表したいという意味だろう。ではその時、なぜ怒ったのだろうか。それは味方の兵士が戦死したためだ。カリウスの怒りと敬意は矛盾する行動ではない。世の中には常にこのような二面的な真実がある。それを悟るのに時間がかかるだけだ。知性の任務はこのような視野を広げることだが、私たちの社会はその反対を行っている。