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[オピニオン]高麗螺鈿とバーキンバックに宿っている職人気質

[オピニオン]高麗螺鈿とバーキンバックに宿っている職人気質

Posted August. 03, 2015 07:18,   

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米国のテレビドラマ「セックスアンドザシティ」に、広報専門家のサマンサがこのハンドバックを買うため、スターの名を借りて恥をかかされるエピソードが出てくる。1個当たり1000万ウォン台から億ウォン単位まで優に超えるが、待機名簿が長すぎて、お金だけでは買うのが難しいからだ。そのカバンの名は、英国歌手ジェーン・バーキンの名を取ってつけた「バーキンバック」。最近、バーキンが、ワニバックに必要な皮を手にする過程で行われる動物虐待に衝撃を受け、自分の名を外してほしいと要請し、話題を呼んでいる。

◆バーキンバックはモナコ王妃グレース・ケリーの名を取った「ケリーバック」と共に、1837年に創立されたフランスブランド・エルメスを象徴している。この会社では、バーキンバックはもとより、ネクタイなどの小物を作る時も職人気質を重視する。誰の手によって生まれたのかを製品に表示することも、職人の存在感に照明を当てるためだ。英紙ガーディアンによると、エルメスの職人1人の経済的価値は50億ウォンに上る。

◆ソウル・リウム美術館の「細密可貴:韓国美術の品格」展に行けば、わが国のかつての職人の魂が宿った螺鈿を見ることができる。12世紀、中国宋の使者が高麗(コリョ)の螺鈿を見て、「細密さが優れており、まさに貴重と言える」と語ったことからタイトルを取ってきた。美術館の所蔵品と米メトロポリタン博物館など国内外の40数ヵ所から取り寄せた焼き物や絵画など、数々の遺物のうち、高麗時代の螺鈿經函は、まぶしいほど華やかで、極限の精巧さを誇っている。伝統美術の特徴を「素朴さ」だけで狭く解釈する偏った見方を見直すチャンスともいえる。

◆高麗王室は、螺鈿職人に格別に念を入れた。官営工芸品製作所(中尙署)俸禄体系によると、年間300日以上を働く条件で、螺鈿職人は7石を受け取った。年間大人1人が消費するコメを1石とみているが、7人が十分食べることのできる糧を、年俸として受け取ったのだ。国からの全面的な支援に、螺鈿職人は国際社会が認める最高のブランド品で応えた。儒教が支配した朝鮮時代に入ってからは技術を蔑み、高麗螺鈿の芸術的美を完成させた職人の息吹と威厳も下火になった。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com