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[オピニオン]ページ脚本

Posted December. 31, 2007 05:29,   

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タレントの柳東根(ユ・ドングン)氏が、SBSドラマ「王と私」の製作チームに暴行を加えたことは、放送界の異常な力学構図を示す象徴的な出来事だ。芸能界では、酒に酔っていたとはいえ、芸能人がプロデューサーを殴ったこの「下剋上」に大きなショックを受けている。今回の暴行事件は、柳氏が製作チームや被害者に公に謝罪したことで収まりつつあるが、出来事の発端となった韓国ドラマの持病、「ページ脚本」の問題は依然として残っている。

◆韓国ほどドラマの多い国もないだろう。朝ドラや昼ドラ、週末ドラマ、月火ドラマ(あるいは水木ドラマ)、特別ドラマなどなど…。感情の豊かな民族性のためだろうか。このようにドラマの編成は多いが、制作環境は劣悪この上ない。その象徴が、ほかならぬその日の撮影分だけ送られるページ脚本だ。役者が準備を整えて待っていても脚本が届かなかったり、1ページずつ、ファックスや電子メールで届いたりするというものだ。ひどい場合は携帯電話のメールで、台詞が1行ずつ送られてくることもある。

◆役者は、次回で自分が死ぬのか生きるのかすらわからない状況で演じなければならず、感情の処理がうまくできるはずがない。自分の台詞を覚えるのに精一杯で、相手役との演技の呼吸を合わせるのも容易ではない。製作チームもまた、当日になってようやく撮影場所がわかり、事前の撮影協力の要請もできず、文化財毀損のような出来事を起こしたこともある。頻繁な徹夜撮影で役者たちは疲れ果て、倒れることもある。しかし、もっとも大きな問題はドラマの流れが不自然になり、作品の質が落ちることだ。

◆出生にまつわる秘密や不倫、記憶喪失、善玉と悪玉、シンデレラ、不治の病、嫁と姑の対立。ある放送界の人物は、「この7つのプロットを取り除けば、韓国ドラマには何も残らない」と言い切った。米国のドラマが、「次回はどうなるか」わからず、緊張がほぐれない一方、韓国ドラマは1回だけ見れば大体の内容がわかる理由がこれだ。ページ脚本は、作家の力量不足の問題がもっとも大きい。ページ脚本を書かない作家として有名なノ・ヒギョン氏は、「あらかじめ脚本を手渡すのは製作チームへの礼儀だ」と話す。製作チームはもとより、視聴者への礼儀だろう。作家なら、それぐらいの「創作の苦痛」は乗り越えなければならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com