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映画「風のファイター」 崔ベダル役に歌手ビ

映画「風のファイター」 崔ベダル役に歌手ビ

Posted November. 21, 2002 23:41,   

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今年4月に「悪い男」でデビューし、短期間でトップ歌手に浮上した歌手ビ(20、実名、チョン・チフン)のイメージはヤヌス的だ。声を出さずに笑う美少年の顔に高い身長(184cm)と筋肉質のセクシーさが結びついた彼のことについて、ある映画制作者は「合成体みたいだ」と表現したことがある。

彼が伝説的な武術人の崔ベダル(実名・崔ヨンウィ、日本名・大山培達=1922〜1994)の若い時代を描いた映画「風のファイター」の主演に抜擢された後、映画街忠武路(チュンムロ)では「ビが崔ベダルをだって?」「絶妙なキャスティングだ」という相反する反応が出ている。

この映画のヤン・ユンホ監督は「ビは踊り手なので『体の味』を分かっているし、有段者の『教育された』身振りの代わりにファイターの激しいリズムがそれとなく身についているところを高く買った」と、キャスティングの背景を説明する。原作者の漫画家、房学基(バン・ハクキ)氏も「崔ベダルは単なる英雄ではなく、戦いを恐れる戦いの神だった。新しい崔ベダルのイメージが作られそうだ」と、期待感を語った。20日に会ったビは、未熟な子どもの顔だろうという予想と違い、しっかりした青年の印象だ。写真撮影の前、「どんなコンセプトなのか聞いてもいいですか?ポーズを取るのに参考になると思うので」と聞く顔には「どんなことでもいい加減にはしない」というしっかりさがうかがえた。自ら「目を丸くする」ほど人気が上がった後、映画出演の提案をかなり受けたが「大半が悲恋のメロードラマだったので関心がなかった」と言う。

「釜山で公演終えて上がってくる車の中にあった「風のファイター」シナリオを何気なく読み始めたんだけど、ぐいぐいと吸い込まれた。恥辱を含めて喜怒哀楽が全部盛り込まれている話だという気がした」。

ビがマネジャーに「これやってみたいね」と言ったとき、返ってきた返事は「歌うことだけで良いんじゃないの」だった。それでも「忘れられなくて『とりあえずシナリオを読んでみてから話そうね』としつこくせがんだ」と言う。

「デビューして1年も経っていないし、1枚目のアルバムを出したばかりの歌手が映画なんてと、好ましくない見方をする方も多いだろう。でも挑戦してみたかった。この時期にやってみれる仕事って、いつもありふれているわけではないはずだから」。

ビは「崔ベダル先生の極真空手は、実戦で命をかける戦いだ。準備ができていなければ、始めることも辞めた方がいいという覚悟でいる。1月から本格的なトレーニングに入れば、歌手の活動も休止して映画だけに専念する」と誓うように話した。

「安養(アンヤン)芸術高校ではけんか強かったんだって?」と聞くと、照れる顔で「毎日けんかばかりしていたのではないけど、一度ぶつかったら退かなかった。…負けるのは嫌」と答える。「あの顔で根性なんて」という先入観が少しずつ崩れていく。

「ジンヨン(歌手の朴ジンヨン)の兄のバックダンサーをしながら歌手の訓練を受けていた時、兄貴に『そんなに歌が下手でお前も歌手と言えるのか?』と、怒られるほど、本当に歌が下手だった。負けん気を覚えて気違いみたいに没頭した。一度は、バスの後ろ席でイヤホンで音楽を聞きながら一人で振りつけの構想をしていたんだけど、横に座っていたおばさんがトントンと叩いては、可哀想な表情で『こら、てんかんあるの?』と聞かれたこともある。歌に対する劣等感でライブは夢見ることもできなかったんだけど、この頃は「アンニョンという言葉の代わりに」「握手」を歌う時リップシンクをしたことがない」。

2年前に持病で亡くなった母親の話を持ち出したら「ママに『僕が金をもうけたら可愛い台所つくってあげる』と言ったのに…」とこぼしながら、顔に陰ができた。しかし、ビが、自身のことについてたんたんと語り続けることろを見れば、その後の心の身長は指尺ひとつは大きくなったようだ。

「母が亡くなった後、人間って自分の思うようにだけ生きられるものではないという気がした。率直に言って、自分の顔が可愛いとか二枚目の顔だとは思わない。以前には見栄えがしなかった。今の姿は、イメージをそう作ったからできたのだ。どんなに格好良く映っても、それを自分自身と混同してはだめだと、いつも考えている」。



金熹暻 susanna@donga.com