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日本の教科書 どこに向かうのか(下)

Posted April. 06, 2001 11:15,   

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「新しい歴史教科書をつくる会」(以下つくる会)が執筆した中学歴史教科書の誕生を手助けしたのは今日の日本社会だ。

近くは日本の経済不況と政治混乱からその原因を見出す人が多い。東京大学の小林陽一(日本近代文学)教授は「政治や経済において自信をなくしたためこのような教科書が出現した」としながら、「過去を美化し、日本国内でのみ通用する優越感を強調することで自信の無さを隠そうとしている」と分析した。彼は「つくる会」が執筆した教科書の原本ともいえる『国民の歴史』が、過去を褒め称えるだけで未来に対するビジョンを見せられずにいるのがその証拠だと指摘した。

政経大学の加藤節(政治哲学)教授は、「日本の『大国』意識は経済に依存してきたため、景気が後退すると急に意気消沈する」とし、「その反作用で新しい拠り所を探そうとする動きが出てくるが、その一つが自国中心的な歴史意識」だと分析した。

より根本的な理由は太平洋戦争以前の「強い日本」を懐かしむ勢力が現在の日本社会に厳存しているという事実から見い出せる。

代表的な集団が執権与党の自民党。93年8月自民党は「歴史検討会」を作った。委員会の最終報告書は「つくる会」が目指すところと同じだ。森喜郎首相を始め、現役の閣僚6人が委員会に参加している。

自民党内の「明るい日本議員連盟」、「日本の明日と歴史教育を考える若手議員の集まり」や各都道府県の「教科書議員連盟」も「つくる会」の強い味方だ。彼らは教科書問題を巡る韓国と中国の反発を「内政干渉」と規定し、日本政府がこれに強力対応すべきだと主張した。

野党は自民党の独走を牽制するには力不足だ。国民も政治にさほど期待していない。1955年以降わずか数年を除いて長期執権してきた自民党は恐れるべき相手がいない状態だ。森内閣が9%台の低い支持率にもかかわらず解散に追い込まれず持ち堪えているのは、自民党内の派閥関係だけ巧みに操れば済む日本政治の病弊を如実に見せてくれる。

戦後日本が抱いてきた負の遺産を清算する過程で歴史認識が悪用されている面もある。日本では戦後体制を清算し、「普通の国」を築くべきであるという論議が説得力を得ている。過去日本がおかした「恥ずかしい過ち」を否定する声がだんだん大きくなりつつある。「つくる会」が既存の歴史教科書を「自虐史観」に基づいたものとしているのもこうした雰囲気に便乗したのだ。

このような主張の最も大きな誤りは加害者の立場を忘れたという点だ。ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎は「これは『鎖国のメンタリズム』であり、これが端的に表れたのがすなわち『つくる会』の教科書」だと批判した。

日本の知識人は「つくる会」のような右翼の考え方を持つ人は大して多くないと強調する。それほど心配しなくてもいいということだ。しかし問題は大多数の日本人が右翼勢力を公に批判したり論争しようとしないところにある。

日本社会には国際化や情報技術(IT)社会を目指すという言葉が強調されている。しかし右傾化の勢力はこうしたキャッチフレーズとは裏腹に過去への回帰を目指しながら次第に「異常国 日本」を作り上げつつある。



沈揆先(シム・ギュソン)記者 ksshim@donga.com