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北朝鮮の「衛星」失敗、韓国の「警報」混乱…対応態勢に一息ついている余裕はない

北朝鮮の「衛星」失敗、韓国の「警報」混乱…対応態勢に一息ついている余裕はない

Posted June. 01, 2023 08:30,   

Updated June. 01, 2023 08:30

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北朝鮮が5月31日午前、衛星を搭載したロケットを南方に打ち上げたが、エンジンの故障で失敗した。北朝鮮は、「軍事偵察衛星『万里鏡(マンリギョン)1号』を搭載した新型ロケット『千里馬(チョンリマ)1』が1段目推進体の分離後、2段目推進体の始動の異常で西海(ソへ・黄海)に墜落した」と明らかにした。北朝鮮は「できるだけ早期に2次発射」を行うとした。北朝鮮のロケット打ち上げにソウル市は「避難準備」を知らせる緊急メールを送信したが、行政安全部は「誤発令」と撤回するなど、韓国政府は対応の混乱を露呈した。

偵察衛星の開発を名目に南方にロケットを打ち上げた北朝鮮の挑発はひとまず失敗に終わった。技術的な準備が完璧に終わっていない状態で、政権の対内外の政治日程に合わせるために打ち上げを急いだ結果だろう。北朝鮮は、軍部ナンバー2が「6月に打ち上げる計画」と言って周辺国の緊張を緩めておいて、5月最終日に奇襲的に打ち上げる欺瞞術まで使ったが、ロケットの技術的な不完全さを露呈し、無残にも失敗した。

今回の失敗で金正恩(キム・ジョンウン)総書記の勢いは挫かれるかもしれないが、北朝鮮の対外挑発は続くだろう。北朝鮮は、2012年の衛生「光明星(クァンミョンソン)3号」の打ち上げ失敗後、8ヵ月後の再試行で衛星を軌道に乗せた。16~17年には弾道ミサイルの不発や空中爆発で何度も発射に失敗しながらも、中・長距離ミサイル開発に拍車をかけた。今回の失敗が、しばらく静観していた正恩氏の対外挑発を促す可能性も少なくない。

韓国政府と国際社会は、国連の対北朝鮮制裁決議違反という明らかな違法行為への対応決意をさらに固めなければならない。すでに政府は、「相応の代償と苦痛を受けなければならないだろう」と警告している。北朝鮮が失敗したからといって、韓国の対応レベルを下げる理由はない。直ちに国連安全保障理事会の招集を通じた北朝鮮の非難と報復決議を推進し、北朝鮮制裁戦線を新たに構築するなど、外交総力戦に突入しなければならない。

さらに今回の挑発は、対北朝鮮警報システムなど韓国政府の危機対応システムに大きな課題を投げかけた。北朝鮮のロケット打ち上げから約10分後に鳴り響いたソウル市の警戒警報に、市民は「どこにどうやって避難しろというのか」と不安になり、インターネット検索が殺到し、ポータルサイトのアクセスが一時中断した。さらに20分後、ソウル市の警報が「誤発令」だったという行政安全部のメールで市民はさらに混乱した。このような混乱をめぐって、ソウル市と行政安全部が責任攻防を繰り広げている。このようにあわてふためく姿を見て北朝鮮が嘲笑しても言葉がない。

今回の対応の混乱の根本的な責任は大統領室にある。北朝鮮の脅威のレベルに対する評価とそれによる対応措置の判断は、安全保障コントロールタワーである国家安全保障室の責任だ。北朝鮮のロケット打ち上げは以前から予告されていた。警報の段階と発令基準、手続きなどのシステムを精巧に構築し、政府各省庁や地方自治体まで徹底的に備えるべきだった。対応準備に一息ついている余裕はない。