Go to contents

幸せな家庭の条件

Posted May. 10, 2021 08:28,   

Updated May. 10, 2021 08:29

한국어

幸せな家庭はどれも同じだが、不幸な家庭はどれも違う。(レフ・トルストイの「アンナ・カレーニナ」より)

家庭内暴力担当検事の主な業務は、事件の当事者らと直接面談することだ。暴力が起きるようになった経緯、今の心情、夫婦の場合は婚姻関係を維持する意思があるのかも聞く。その面談は自然に夫婦相談、家族相談になってしまう。

常習暴力犯による一部の事件を除けば、大半の家庭内暴力事件は、普通の人々が激しい感情をなだめることができずに起きる出来事だ。お互いに携帯電話を奪おうとしていざこざを起こしたり、腹立ちまぎれに壁をげんこつで殴ったり…。「大変だったでしょう」。生まれて初めて受けた取り調べに怖がっていた人々は、膿んだ傷口にそっと触るだけで、その間の苦しみをわっと吐き出す。

最近は新型コロナによる家庭での子育てのストレスと経済的問題が大半を占める。「8カ月間双子の面倒を見るため、外に出られません」。夫婦相談を受けるように勧められて、幼い新妻は疲れた声で答える。「死にたい」。解雇されたことを隠して毎日出勤するふりをしているところがばれて、夫婦喧嘩をしたという旅行会社の社員はついに泣き出す。どの家庭にも気の毒な事情がある。不幸な家庭の様子はみなまちまちだ。

しかし、それぞれ異なる家庭にも、共通点が一つある。まさに不仲を乗り越えて家族を守ろうとする強い意志だ。強圧的な親の下で育ち、愛情表現の仕方を知らなかった50代の男性は、相談を受けて新しい人間に生まれ変わった。アルコール依存症の症状を認めなかった70代の女性は、孫の切なる願いに負けて、恥を承知で入院した。その結果は、時には成功し、時にはそうではないが、彼らの努力だけは誰も非難できないだろう。一日も風の止む日のない皆さんの、私たちの家庭に、たまには平和な日々が訪れますように。