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キム・ヘスン氏の「翼の幻想痛」がNBCCアワード受賞

キム・ヘスン氏の「翼の幻想痛」がNBCCアワード受賞

Posted March. 23, 2024 08:46,   

Updated March. 23, 2024 08:46

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詩人のキム・ヘスン氏(69)が詩集「翼の幻想痛」(写真)で、全米図書批評家協会賞(NBCC賞)を受賞した。韓国文学作品がNBCC賞を受賞するのは初めてで、翻訳詩集が同賞を受賞したのも未曾有のことだ。

NBCCは21日(現地時間)、米ニューヨークのニュースクールで開かれた「2023NBCC賞」の詩部門の受賞作に、「翼の幻想痛」の英語版詩集(Phantom Pain Wings)を発表した。米国で最も権威のある文学賞の一つであるNBCC賞は、1年間米国で英語で書かれた最高の本を選んで、詩や小説、ノンフィクション、伝記、翻訳書の部門別に受賞者を決める。

同日、キム氏は出版社を通じて、「全く受賞を期待していなかった。アジアの女性に賞を授与したことが驚きで嬉しい」とし、「立派な翻訳で長い間共にしてきたチェ・ドンミ氏に感謝する」という受賞感想を明らかにした。代わりに授賞式に参加した米出版社ニューディレクションパブリッシングのジェフリー編集者は、「ジェンダーは名詞ではなく動詞だ。このようにもう一つの女性を選んでくれてありがとう」というキム氏の感想を代わりに伝えた。

「翼の幻想痛」は、キム氏の登壇40周年を迎え、2019年に文学と知性社から出版された13番目の詩集だ。同名の表題詩で話者である「私」と「鳥」は、権力者から追放されたまま一緒に幻想痛を体験する存在として描かれる。キム氏は、「鳥する(鳥なる)」という概念を通じて、ジェンダー差別を越える内容を盛り込んだ。

文学と知性社のイ・グァンホ代表は、「鳥を、主語でも目的語でもない動詞にして、主体と客体の境界を崩す詩的効果を増幅させた」と述べた。「翼の幻想通」は、韓国系米国人のチェ・ドンミ詩人(62)の翻訳を経て、昨年5月に米国で出版され、地元文壇の好評を得た。米紙ニューヨークタイムズは昨年末、この詩集を「今年最高の詩集5冊」の一つに選んだ。

キム氏は、韓国文壇で「女性詩の起源」という評価を受けている。1978年、東亜(トンア)日報の新春文芸評論に入選後、1979年、季刊誌「文学と知性」を通じて詩で登壇し、計14冊の詩集を出した。文壇では、女性的特性を受け入れ、新しい人間像と世界に対するビジョンで作り出すキム氏の作品の性向が、西洋のフェミニズムとは異なる意味で独特に受け入れられたという分析が出ている。文学評論家のカン・ドンホ氏は、「キム氏は、女性として、アイデンティティから人間種の問題にまで作品世界を拡張し、実験的で前衛的な挑戦をしている」とし、「同時代と呼吸している詩人としての普遍性が、国際舞台で良い評価を受けたようだ」と話した。

ノンフィクションや小説に比べて翻訳が難しい詩部門で、受賞作が出たのも異例のことだ。キム氏は今回の受賞に先立ち、「死の自叙伝」で2019年にカナダのグリフィン詩賞をはじめとする4つの海外文学賞を受賞した。韓国文学翻訳院のクァク・ヒョファン院長は、「2010年代以降、チェ・ドンミ詩人兼翻訳家のように、韓国語と英語の両方に堪能な翻訳家が登場し、翻訳の質が高くなり海外文学賞の受賞が増えている」と話した。


サ・ジウォン記者 4g1@donga.com