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大統領夫人リスクめぐる尹大統領と韓氏の衝突、政治も権力も民心には勝てない

大統領夫人リスクめぐる尹大統領と韓氏の衝突、政治も権力も民心には勝てない

Posted January. 23, 2024 08:29,   

Updated January. 23, 2024 08:29

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与党「国民の力」の韓東勳(ハン・ドンフン)非常対策委員長は昨日、記者団に対し、大統領室の辞任要求と党務介入の有無に関する質問に対し、「私が辞任要求を断ったので、具体的な内容は言い難い」と述べた。前日、大統領室の李官燮(イ・グァンソプ)秘書室長と会った席で、金建希(キム・ゴンヒ)夫人のブランドバックをめぐる議論の解決策などに関連し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「辞退要求」の旨が伝わったことを認めたものだ。韓氏は、「私の任期は、総選挙以降まで続くと理解している」とし、非常対策委員長を続投する考えも繰り返し表明した。前日、「韓委員長の進退は、(大統領が)関与する問題ではない」とコメントした大統領室側は、昨日は発言を極度に控え、尹大統領は予定されていた民生討論会への出席を取り消した。

尹大統領が4・10総選挙を80日後に控えて、与党非常対策委員長の辞任を要求したということはそれ自体では理解し難い。金夫人をめぐる議論の解決策は、火を見るより明らかなのに、そのような強硬策をとって家族の防御に乗り出したのは、いくら予測不可能な変化に富んだ韓国政治でも、その程度が度を超えているからだ。そのため、与党の一部からは、「大統領室が恨めしさと不満を吐露した程度なのに、韓委員長が過度に誇張した」という見方も出ている。どうせ金夫人のリスクを越えるためには、対立は避けられないが、正面衝突と劇的な和解という効果を狙って仕組んだのではないかという見方が出ているのも、このような理由からだ。

直ちに今回の事態がどっちに転ぶのか見守らなければならないが、その衝突がどのように整理されるかによって与党の政治勢力図は大きく変わるだろう。事態が激化すれば、与党は総選挙前の大分裂の混乱を経験せざるを得ない。ただ、その結果によっては政府与党間関係の根本的な変化も実現するだろう。すでに尹大統領は、自分の意思に反する与党関係者を次々と追い出して、党への掌握力を誇示してきた。李俊錫(イ・ジュンソク)元代表や金起炫(キム・ギヒョン)前代表など与党トップとの不仲がすでに3回目になる。ひとまず韓氏は、そのような圧力に正面から抵抗している格好だ。「尹錫悦のアバター」から脱し、独立したイメージを確保するチャンスであろう。しかし、党内における親尹系(尹大統領系)との対立、分裂の渦は避けられない。

結局、事態収拾のカギは尹大統領が握っている。個人的な事情に縛られて国事を誤るわけにはいかない。金夫人が自ら前面に出て経緯を説明し、頭を下げて謝罪することが優先だろう。以後も色々な議論が続くだろうが、それもやはり耐えなければならない問題だ。そのように議論の川を渡らなければ、大統領と与党はその沼から抜け出すことができず、そのような低い姿勢の中で民心も和らげることができる。政治も権力も民心に勝つことはできない。