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米国物価ピーク説も、韓国はまだ緊張を緩める時ではない

米国物価ピーク説も、韓国はまだ緊張を緩める時ではない

Posted November. 12, 2022 08:32,   

Updated November. 12, 2022 08:32

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米国の消費者物価の上昇率が、先月7.7%に落ちた。6月に9.1%でピークに達した後、4ヶ月連続で上昇幅が減り、連邦準備制度(FRB)の基準金利の引き上げ速度調節と景気軟着陸をめぐる期待が高まり、ニューヨーク証券市場は大幅に上昇した。韓国の総合株価指数(コスピ)とコスダックも3%以上上昇し、ソウル外国為替市場での対ドル・ウォン相場は1ドル=1318ウォンで、60ウォン近くウォン高ドル安が進んだ。

米国で発表された数字一つに、世界経済は急にピンク色のムードに包まれたが、このような雰囲気が持続するのは容易ではない。先週、FRBのパウエル議長は、来月の金利引き上げ幅を減らす意向を示しつつも、さらに長く、さらに高く金利を引き上げると述べた。現在4%である米国金利が来年は6%にまで上がるだろうという予測が出ている。エネルギー価格を引き上げたウクライナ戦争も、冬を越す見通しだ。最近では、世界3位の仮想通貨取引所であるFTXの危機が金融圏に広がり、「コイン版リーマンブラザーズ事態」を触発しかねないという懸念も大きくなっている。

今や入り口に差し掛かっている世界的な景気低迷によって、輸出で生計を立てている韓国経済の厳しさは、はるかに長く続く可能性が高い。韓国開発研究院(KDI)は、来年は3.2%の高い物価と潜在成長率に及ばない1.8%の成長を予想した。オイルショックや通貨危機、グローバル金融危機、新型コロナの初年度を除けば、未曽有の低い成長率だ。

その上、春川(チュンチョン)レゴランド事態や韓国電力の莫大な社債発行で資金市場が収縮し、大企業までが資金調達が難しくなっている。高い金利を払っても短期資金しか調達できない中小企業や建設会社は、相次ぐ倒産が懸念される状況だ。住宅ローンや伝貰(チョンセ=住宅の賃貸保証金)の融資金利が7%を超え、無理して住宅を購入した家計の破産の可能性も高まっている。弱り目にたたり目で、韓国の最大交易国である中国までが輸出が29ヵ月ぶりに減少するなど低迷に陥っている。

「10月物価のピーク論」を主張してきた政府と韓国銀行は、米物価上昇率の下落を大きく歓迎する雰囲気だ。しかし、先月、韓国物価は9月よりさらに高くなるなど、物価が安定したというシグナルはない。韓電の膨大な赤字のため、来年は大幅な電気料金の引き上げも避けられない。物価が上がっただけに、賃金を上げてほしいという要求も強まっている。不安定な国際原油価格も、いつでも反発する可能性がある。政府と韓銀は、性急に緊張を緩めず、急変する状況を注視しなければならない。