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一生の友の同行

Posted March. 04, 2021 08:08,   

Updated March. 04, 2021 08:08

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美術史のバイブルと呼ばれるエルンスト・ゴンブリッチの「西洋美術史」の初版には、一人の女性美術家も登場しない。歴史に残る偉大な画家は全て男性で、女性は常に彼らのモデルとしてしか存在しなかった。19世紀、スウェーデンの画家イェンナ・バウクは、このような固定観念に挑戦する肖像画を描いて、女性画家の存在を自ら記録しようとした。

30代後半のバウクが描いたこの絵は、肖像画作業に没頭する画家の姿を描写している。19世紀の普通の画家のアトリエの風景とあまり変わらないように見えるが、女性が画家、男性がモデルだ。絵の中の画家は、バウクの同僚だったベルタ・ヴェークマンで、当時2人は同じ作業室を使っていた。1840年にストックホルムで生まれたバウクは、23歳の時にドイツに美術留学し、ミュンヘンに定着したが、ここで7歳年下のデンマーク画家ヴェークマンに会った。女性という理由で美術大学に入ることができず、個人画室で絵を学んだ2人は、似たような境遇だったためすぐに親しくなり、生涯の友人となった。自宅と作業室を共有しながら、イタリア旅行やパリへの移住も共にした。この絵は、ミュンヘンで一緒に暮らしながら作業をしていた時に描いた。二人はお互いに肖像画を描いて応援し、女性に対する偏見と男性中心の規範を破ろうと努力した。2人の友人は、パリ・サロン展に一緒に出品して好評を博し、国際展示会に活発に参加して名声を築いた。

教育の重要性について誰よりもよく知っていた2人は、教育にも献身的だった。ヴェークマンはコペンハーゲンに戻り、デンマーク王立美術院初の女性議長になり、バウクはミュンヘンに女性のための美術学校を建てた。嫉妬と競争ではなく、支持と連帯を通じて大きな成功を成し遂げた2人の友人は、影響力のある画家であり教育者として生き、1926年、同じ年に生涯を閉じた。一生の友だった2人は、こうしてあの世に旅立つ時も同行した。ヴェークマンは、友人が描いた絵のように、人生の最後の瞬間にも筆を握っていたという。

美術評論家