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国楽界の「ドーザー」チェ・ヨンジン氏が自伝出版、「芸術家は『関種』でなければな」

国楽界の「ドーザー」チェ・ヨンジン氏が自伝出版、「芸術家は『関種』でなければな」

Posted May. 01, 2020 08:16,   

Updated May. 01, 2020 08:16

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「『師匠が生きておられるのに、どうして先に本を出すか』と言われる方もいます。不らちだって?革新的だと言ってください」

国楽人のチェ・ヨンジン氏(41)が初エッセイ集「打人の人力」(トイレットプレス)を出した。かしずくべき人の多い国楽界でいわば自伝を、それも40代前半に出したわけだ。チェ氏は、「師匠がアルバムを出さなければ弟子もアルバムを、本を書かなければ弟子も本を書かないのが不文律である国楽界だが、私の物語をぜひ伝えたかった」と話した。

チェ氏は国楽界で、顔の広いサイのブルドーザーと言われる。ワールドミュージックグループ「イースターノックス」の音楽監督で、ハンベアートカルチャーズの芸術監督兼無形文化財「鳳山(ポンサン)タルチュム」「金堤(キムジェ)農楽」の履修者。「芸術家は関種(「関心種子」の略語で、関心が欲しすぎて変なことする人を意味するインターネットスラング)でなければならない」というのが彼の持論だ。

「石の上にも三年」という格言を、チェ氏は聞き流している。正楽、民俗楽、創作音楽の三つの柱を夢中に行き来する。幼い頃から出しゃばる性格だった。中学校体育大会の時に応援団長を務めながら、綱引き選手たちにフィモリリズムを教えた。「ドン」と「クン」の拍子に力を集中するように訓練させて、3年連続で優勝を導いた。軍隊入隊のための身体検査を受けにいこうと乗った市外バスでは、いきなりマイクを握って初対面の乗客に余興をあおった。なんと二時間半の間。「さあ、こんにちは。皆さん! 『南行き列車』を一曲歌わせていただきます。さて、お菓子も召し上がって。次の順番は…」

全羅南道麗水(チョンラナムド・ヨス)工業高校を経て、ソウル芸大国楽科を出た。小学生の頃、家にあったチャングを直感的に叩いたのが始まりだった。本には、彼がその後、キム・ギュヒョン、キム・チョンマン、パク・ヒョンスク、ソン・エスン、ヤン・ヨンソプ、ヤン・スンヒ、チョ・スンエ、ハ・ジュファなどの名人を訪ねて、体当たりしながら学んだ物語がぎっしり詰まっている。軍楽隊時代は大統領の前で大吹打を演奏する途中にしくじったことのようなドタバタの経験談を率直に盛り込んだ。

チェ氏は、3年前、ユーチューブに「走るチェ先生」というアカウントを作った。一人で自撮り棒を持って、人気ゲーム「ポケモンGO」をしながら東奔西走することから撮影した。珍しいモンスターを倒せば国楽口音(口で出すすべての音)で喜びを表現した。「若年層に何とか国楽を知らせたかったから」だという。

今は、このチャネルに国楽公演の実況を積み上げている。2008年から始めた10年間のプロジェクト「チェ・ヨンジンのリズム」である。毎月最後の週の月曜日、ソウル瑞草区(ソチョグ)のチョンヒョアートセンター(02-523-6268)で開く公演。武侠誌の道場崩しのように、すべての種類の散調伴奏を一つずつこなしながら、このプロセスを見せたいという。

「今年でカヤグムの方が終われば、琴に移りたいと思います。25人の名人に会って話を聞き、記録に残すことになるでしょう」

本のタイトル「打人の人力」で打人は見知らぬ人ではなく、打つ人だ。彼は、「最初のチャング人間文化財(国の重要無形文化財保有者)になるのが目標」だという。

「国楽を初めて始めたり、10年間国楽をやったが、目標意識を失った方々に私の本を読んで欲しいと思います。音楽は舞台上でのみ行われるものではないということをね」


イム・ヒユン記者 imi@donga.com