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資金用意した「スマートなアリ」たちが「一儲け」の夢を追いかけて突進

資金用意した「スマートなアリ」たちが「一儲け」の夢を追いかけて突進

Posted April. 25, 2020 08:10,   

Updated April. 25, 2020 08:10

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新型コロナウイルス感染症の衝撃で総合株価指数(コスピ)が乱高下していた先月、会社員のキム某さん(39)は、満期が帰ってきた積立金と余裕資金など約5000万ウォンを集めて株への投資に乗り出した。コスピが1800ポイントを割り込んだ後、三星(サムスン)電子とSKハイニックス、ネイバーなどの株を分割買収し始めた。コスピが一時1400台に急落した時は不安な気持ちもなくはなかった。幸いなことに反発に成功して、キム氏は現在まで8%ほどの収益を上げている。

チェ氏(30)も似たような時期に株式投資を始めた。「またとないチャンスだ」という知人の言葉にマイナス通帳を作って、4000万ウォンを投資した。三星電子を中心に投資したが、収益率が気に入らず、店頭市場(コスダック)のバイオ銘柄と原油先物上場投資信託(ETF)に目を向けた。一時2倍近い利益を上げて満足したが、最近はマイナスに転じて不安が高まっている。

新型コロナウイルスの影響で、韓国株式市場で長い間続いてきたボックス圏が崩れ、個人投資家が株式市場に参入している。いわゆる「東学(トンハク)蟻運動」である。事態が落ち着けば、結局株価は上がるという信頼、乱高下の相場で流れにうまく乗れば大金を稼ぐことができるという期待感が堅固である。1400ポイントまで暴落した株式市場が1ヵ月足らずで1900ポイントを回復するなど、とりあえず現在までの結果は成功と言える。しかし、デリバティブとテーマ株を中心に損をする投資家も増えており、株式市場の第2次衝撃に対する懸念の声も出ている。

●株を買うお金は過去最大…「スマート蟻」が出撃

株式市場の乱高下の中、低価格での買収を狙った個人投資家が恐ろしいスピードで増えている。金融投資協会によると、20日時点で10万ウォン以上の残高があって、6ヶ月以内に一回以上株取引を行った経験がある「活動口座」の数は3110万5665個で、過去最大を記録した。コスピが1400台まで下がった先月だけで86万個が増えて、2009年4月以降最大の増加幅を見せた。昨年下半期(7〜12月)に、毎月20万個弱ずつが増加したことと比較される。

アリの実弾(投資)も豊富である。寒波に見舞われている不動産市場の資金までが株式市場に流れている。投資家が株を購入しようと証券会社に預けておいたり、株を売った後引き出さずにいる「投資家預託金」は21日基準で45兆5012億ウォンで過去最大だった。国内で初の新型コロナウイルスの感染者が出た1月20日(28兆1620億ウォン)より61%増えた。

専門家らは、最近の個人投資家の投資形態は、2008年の金融危機などの過去に比べて量的、質的な側面で大きく変わったとみている。十分な流動性をもとに、長期的に配当等を考慮して優良株への価値投資に乗り出しているという。

韓国取引所によると、個人投資家らは1月20日から今月22日まで、有価証券市場で22兆8808億ウォン分の株を買い越した。このうち約8兆ウォンが三星電子の株式で、三星電子優(1兆6239億ウォン)、SKハイニックス(1兆1225億ウォン)、現代(ヒョンデ)自動車(9440億ウォン)、三星SDI(6600億ウォン)などの順だった。買い越し上位5銘柄すべてが、時価総額上位10位以内に入る優良企業である。外国人と機関投資家は、同じ期間、約25兆ウォン分の株を売った。

チャン・ヒョソン三星証券研究員は、「個人投資家らの優良株中心の買い入れパターンを見れば、短期差益より配当と安定的な利益を着実に追求する長期投資の性格が感じられる」とし、「個人の高まった情報力を基に、前向きな結果を期待してもよさそうだ」と展望した。

●「一儲け投資」に乗り出す

しかし、東学アリの成功を楽観することはできないという分析も多い。2ヶ月足らずの短期間に続く急落と回復が、今後続く経済ショックを十分反映したのか不確実だという。すでに可能な財政・金融政策のほとんどを取り出して使っており、グローバル実体経済を中心に第2次衝撃が来たら、対応力が落ちかねないという懸念も無視できない。とある証券会社のリサーチセンター長は、「心理的な支持線が弱い個人投資家が2回目の下落市場に持ちこたえることができず、『パニックセル(sell)』に出たら、株式市場の変動性は急激に高まりかねない」と懸念した。

史上最大に増えた株式市場周辺の資金が、投機性資金に変質しているという指摘も出ている。比較的遅い優良株の上昇幅に満足できなかった一部の個人投資家が、「一儲け投資」に出ているという。株取引の経験が多くない個人がマイナス通帳を作って投資に乗り出したり、収益性の予測が困難なテーマ株、デリバティブに目を向けるなど、随所にすでに危険なシグナルが現れている。

実際に、国際原油価格が史上初めてマイナスを記録した21日、原油関連上場投資証券(ETN)と上場投資ファンド(ETF)の取引代金は1兆16億ウォンで、前日(6438億ウォン)より55.5%急増した。コスピ市場での取引金額(13兆6689億ウォン)の7.3%に達する金額だ。しかし、最近原油価格が相次いで急落し、数千億ウォンが紙切れになりかねないという不安が高まっている。

韓国取引所は22日、異例に原油先物レバレッジETNについて「全額損失」を警告し、一部の銘柄の取引を停止させた。23日、金融監督院も関連商品の最高水準である「危険」等級の消費者警報を発令して、投資自粛を勧告した。

●個人投資家の勝利には「忍耐」が欠かせない

株価暴落の時期に個人資金が大量に流入したのは今回だけのことではない。しかし、物足りない底力が個人投資家の足を引っ張ることが多かった。2007年末、コスピが2000ポイントで下げ相場が始まると、個人投資家は2008年9月まで積極的に株式を買い入れた。しかし、10月に900ポイントまで崩れた大暴落相場で耐え切れなかった個人たちが売りに出て、大規模な損失を抱えた。

まだ対外的に変数が多い点も注意しなければならない。現在では新型コロナウイルスの再流行の可能性を排除できず、企業業績もどこまで悪化するか予測しがたい。国際原油価格による世界的な金融市場の変動性も考慮する必要がある。ハ・インファン・メリッツ証券研究員は、「すでにコスピの下げ幅が多く回復した状況であり、今後株価上昇のスピードが鈍化する可能性が高い」と予測した。

専門家らは、短期差益を狙うよりは、すぐに収益率が高くなくても、基礎体力が良く、今後発展の可能性が高いと判断される優良株を中心に投資するよう呼びかけた。シン・ドンジュンKB証券リサーチセンター長は、「『 アンダーシュートの相場は、性急な人たちのお金が忍耐のある人々に移動する一種の送金装置』だという言葉がある」とし、「株価騰落に過剰に反応しないことが重要な時期だ」と語った。


キム・ジャヒョン記者 zion37@donga.com