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途上国の地位放棄、農民保護に万全を期しながらアップグレードのきっかけにすべきだ

途上国の地位放棄、農民保護に万全を期しながらアップグレードのきっかけにすべきだ

Posted October. 26, 2019 09:24,   

Updated October. 26, 2019 09:24

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昨日行われた対外経済閣僚会議で、政府は世界貿易機関(WTO)の途上国地位を公式にあきらめた。発展途上国の地位を放棄すれば、外国農産物の輸入関税率と農業補助金の支給を巡る特恵を認められなくなる。政府の今回の決定の背景には、韓米通商で解決すべき懸案が山積しているだけに、発展途上国の地位を撤回せよという要求を受け入れるのが国益に合致するという判断がある。すぐに韓米防衛費分担交渉が開始されたうえ、貿易拡大法第232条を通じた自動車関税の賦課決定が来月に迫っている。

発展途上国の地位放棄は、避けられない側面がなくはない。これを求めたドナルド・トランプ米大統領の7月の発言がなくても、韓国は先進国の会である経済開発協力機構(OECD)の加盟国で、主要20カ国(G20)のメンバーでありながら、1人当たりの国民所得が3万ドルを超えたが、まだ発展途上国にとどまっているという点が、交渉対象国にとっては容易に受け入れられないだろう。すでに台湾、ブラジルは発展途上国の地位排除を宣言し、トランプ大統領の言及以来、アラブ首長国連邦(JAE)とシンガポールも、発展途上国の地位を手放した。

政府は、発展途上国の地位を放棄しても、米を含む輸入農産物の関税を突然下げたり、農業補助金を縮小することはないだろうと何度も強調している。すぐにはそうとしても、今後新たな農業交渉が開始すれば、これまで享受していた条件を譲歩せずにはいられないだろう。農民が、発展途上国の地位放棄宣言に反発する理由でもある。

政府がたとえ全体国益のために下した決定だといっても、工業製品など、他の分野の交渉で有利な立場を占めるために、農業を一方的に犠牲にすることはあってはならない。これからでも考えて、政府は、農業系、交渉専門家と一緒に実効性のある保護対策を設けなければならない。

今回の途上国地位放棄宣言を機に、農業も一ランクアップグレードする努力が必要だ。多くの専門家が指摘するように、農業はいくらでも未来型産業になりうるにもかかわらず、いつまでも関税障壁と補助金支援にのみ安住することはできない。先を進んでいる情報通信技術と農業を組み合わせたスマート農業で輸入農産物に対抗し、世界市場を開拓した事例が多い。政府と農民が一緒に膝を交えて、農業自体が競争力を備えた産業に発展させる方策を模索しなければならない。