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生徒の前途を遮る体育大会の移籍制限規定

生徒の前途を遮る体育大会の移籍制限規定

Posted September. 27, 2019 08:27,   

Updated September. 27, 2019 08:27

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「水泳を止めようかと考えました…」

来月4日から開かれる第100回全国体育大会に出場しようとしていた全北体育高校水泳部の1年生、A君(15)はため息をついた。数ヵ月間、汗を流して準備してきた全国体育大会に出場できないという通知を受け、水泳をあきらめようかと悩んだ。

昨年まで居住地の京畿道(キョンギド)に登録して水泳をしていたA君は、高校進学で京畿体育高校に落ち、体育高校への進学を希望して全北体育高校がある完州(ワンジュ)まで来た。自宅に近い一般高校に進学して水泳クラブで運動する方法もあったが、水泳に専念したくて体育高校への進学を決心した。

入学までは何の問題もなかった。体育高校は全国から生徒を募集しており、入学時、中学校から、他の市・道に選手が移動する時に必要な「移籍同意書」も受け取った。しかし、「小・中・高の在学中の選手が大会開始日基準1年未満で他の市・道に転校してクラブチームを変更する場合、大会に参加できない」という全国体育大会の参加規定にひっかかった。

例外として、移籍同意書(公文)を受けた場合この規定は適用されないが、大韓体育会は、「市道教育庁単位の公文ではない」という理由で例外は認められないという判断を下した。A君は「全国体育大会に出場するために、苦しい夏の訓練に耐えて準備してきたのに空しい。気を取り直して再び運動を始めようと思うが、できるかどうか分からない」と辛い気持ちを吐露した。出場できないと聞いて泣いたというA君の声には、若い選手の覇気が全く感じられなかった。

「移籍規制」は、地方の運動有望株が首都圏に集中する弊害を防ぐためにできた。にもかかわらず、不利益を甘受してでも大海に送り出したいという親の思いは強かった。また、一般高校より運動に集中できる体育高校の人気が高まり、A君のように多くの出場機会を得るために他地域の体育高校を選択する学生も増えている。

地方の体育高校としては、将来性ある選手がやってくることは歓迎に値する。しかし、移籍規制が生徒の前途を遮っているという声が出ている。

国家人権委員会は先月、転校を理由に全国体育大会や少年体育大会に参加できなかったという陳情を受け、人権侵害という結論を下し、大韓体育会に基準の改善と再発防止を勧告した。思う存分運動できる環境を求める生徒の選択権を認めたのだ。

意義深い100周年の国内最大のスポーツの祭典に、水泳一種目だけで全国で16人の高校新入生がA君と同じ理由で出場できなくなった。大人たちの横暴でスタートラインにも立てなくなった生徒たちの傷を誰が癒すことができるだろうか。


金培中 wanted@donga.com