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史上初のマイナス物価、経験できなかった「Dの恐怖」の警告を肝に銘じるべき

史上初のマイナス物価、経験できなかった「Dの恐怖」の警告を肝に銘じるべき

Posted September. 04, 2019 08:32,   

Updated September. 04, 2019 08:32

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統計庁が3日発表した8月の消費者物価が、昨年同月より0.04%下落し、1965年に統計を取り始めて以来、初のマイナスを記録した。今年に入って消費者物価は1月の0.8%以来ずっと1%を下回ったが、先月にマイナスに落ちたのだ。企画財政部と韓国銀行は、農水畜産物や石油価格の下落など、供給面での一時的要因のためだと主張し、需要鈍化により物価水準が長期にわたって下落するデフレ状況ではないと説明した。

しかし、最近の物価下落は、一時的な供給側の要因だけでなく、景気低迷による需要不振も少なからず働いたためだという経済専門家たちの診断もある。ややもすると、日本の「失われた20年」のように景気低迷と物価安が長い間続く「D(デフレ)の恐怖」が韓国でも現実化する可能性があるという警告の声を無視してはならない。国民は概してインフレを心配するが、一度も経験したことのないデフレがさらに恐ろしい現象である。消費者や企業は消費と投資を減らし、生産された商品は売れず、在庫が急増すれば、価格を下げるという悪循環が繰り返されるからだ。

韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は先日、「米中貿易紛争の激化など、対外リスクが大きくなったのは事実だ」としながら、今年の成長率予測値(2.2%)の達成が容易ではないことを示唆した。李総裁の発言がなくても、韓日間の経済紛争、ブレグジットをめぐる雑音、新興国金融危機など、対外悪材料が重なっている。これより韓国内部の経済活力が急速に落ちることがより大きな問題だ。製造業の生産能力が過去最長の12期連続下落し、消費も低迷して、7月の小売売上高が前月比0.9%減少した。

政府が近い将来、消費・観光などの内需を活性化するための措置を出すことにしたのは、それだけ状況が尋常でないことを意味する。今、韓国経済は本格的なデフレではないとしても、全体的に無気力に陥っているのは事実だ。企業は、国内で積極的な投資を敬遠し、海外に出て行く機会を捜している。中小企業・自営業の業界でも悲鳴があちこちから出ている。政府は内需活性化対策はもとより、金融、財政、税制、規制改革などすべての力量を経済再生に集中しなければならない。政府がそのような姿を見せるとき、デフレの恐怖は自然に消える。