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クアーズフィールドを超えた柳賢振、決め手は遅いスライダーだった

クアーズフィールドを超えた柳賢振、決め手は遅いスライダーだった

Posted August. 02, 2019 08:58,   

Updated August. 02, 2019 08:58

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1日、敵地コロラド戦に先発登板した柳賢振(リュ・ヒョンジン=32、ロサンゼルス・ドジャース)が1回裏の2死に3番ノーラン・アレナドを相手に投げた2球目がユニークだった。MLB.comの投球分析では時速132キロのチェンジアップだったボールは、いつものチェンジアップよりは速く、カット・ファスト・ボール(カッター)よりは遅くて、大きく曲がった。柳賢振は、試合後に「時速132~134キロのボールは遅いスライダーだった。カッターよりは少し遅いけど、角度の大きいボールを投げようとした」と言い、謎のボールの正体を公開した。

MLB.comの球種分析は、既存の投球データーを基盤にしているため、普段凪げなかった球種については間違った分析をすることがある。2016年まで132キロ前後のスライダーを投げていた柳賢振は、2017年からは平均球速140キロのカッターに変えた。この3年間投げなかった遅いスライダーを使ったのは、クアーズフィールドを攻略するための奇策だった。2005年にクアーズフィールドで完封勝利を挙げたキム・ソンウMBC解説委員は、「投手にとってクアーズフィールドでの登板は、本当にプレッシャーが大きい。そこで普段凪げたことのない球種を使うのは容易なことではないのだが、柳賢振の度胸は凄いと思った」と話した。

ファンタ―スティックな前半戦を送った柳賢振にとって、6月29日のクアーズフィールドでの登板は「玉にきず」だった。被本塁打3本を含めて4回を投げ、今季最多となる7失点して敗戦投手になった。標高1600メートルのコロラド州デンバーに位置するクアーズフィールドは、空気の抵抗が少ないため打球が遠くまで飛ぶ。「投手の墓場」と呼ばれる所以だ。1日に登板前までクアーズフィールドで5試合で1勝4敗、防御率9.15と振るわなかった柳賢振は同日、6回3被安打1死球無失点で抑え、悪夢を振り払った。柳賢振は「他の試合では6~7回以上を投げる覚悟で臨んだが、今日は毎回を失点しないという気持ちで全力投球した」と語った。

2回まで6打者を凡打に打ち取った柳賢振は、3回2死、走者2塁でチャーリー・ブラックモンに右前安打を許し失点の危機を迎えたが、右翼手コディ・ベリンジャーのホームへのレーザー送球で無事イニングを終えることができた。ベリンジャーの送球速度は155.5キロに達した。ドジャースは9回に2本塁打を放ち5-1で勝ったが、0-0の同点だった7回に勝敗がつかないままマウンドを降りた柳賢振は、12勝、通算150勝達成は次戦以降に持ち越された。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、「メジャーリーグをリードする投手柳賢振は、登板する毎試合でチームに勝てるチャンスを提供している。今日もそうだった」と称賛した。

柳賢振は、「天敵」アレナ度を完璧に封じ込めた。直前の試合まで柳賢振を相手に通算打率.609(23打数14安打)と圧倒的優位を見せていたアレナドだが、この日は凡打3本に倒れた。1回2死では三塁ゴロに打ち取られたアレナドは、4回はライトフライに倒れ、6回はショートゴロと本領発揮の機会は得られなかった。

弱点と指摘されたクアーズフィールドを超えた柳賢振は、サイ・ヤング賞争いでも優位に立った。有力なライバルであるマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)が故障者リスト入りした中、柳賢振はメジャーリーグ全体で唯一1点台の防御率(1.66)を維持している。


チョ・ウンヒョン記者 yesbro@donga.com