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[オピニオン]「希望スクラム」を巡る思惑

[オピニオン]「希望スクラム」を巡る思惑

Posted June. 01, 2015 07:17,   

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警察が催涙弾を破裂させながら強制鎮圧に乗り出すと、歌声はさらに大きくなった。「揺るがず揺るがず/揺るがず揺るがず/水辺に植えてある木のように揺るがず…」。仲間と離れないように腕組をしたり、肩を組んだ腕にさらに力が入ったりしたのだろうか。「民主主義」を叫ぶ掛け声が切実な時代だったから。米国のフォーク歌手ジョーン・バエズが歌った「No Nos Moveran」が原曲の「揺るぎなく」は、スクラムを組んでデモをするときにはぴったりの歌のような気がした。特に運動圏でなくても、疾風怒涛の1970、80年代に青春を送った世代には見慣れた風景、耳に慣れた歌だ。

◆トンネルの先が見えない経済難のため、若者たちが落とした肩をぴんと伸ばすのはなかなか難しい。何とか学校を卒業して、仕事にありつけても、結婚して独立しようとすれば、その前にため息が出てくる。やむを得ず、両親と一緒に同居する若い夫婦たちが少なくない。所得がなく、完全に世話をしてもらうカンガルー族とは違って、稼いだ金の一部を生活費として出したり、両親に小遣いをあげなら、皆一つになって共生する家族だ。2000年代以降、日本で注目を集めた「スクラム家族」が、今は韓国でもよく目にできる。

◆ラグビーは韓国では人気のない種目だが、実際見れば、胸がピリッとするほどダイナミックだ。男たちが闘志を燃やし、団結力を高めるにはこの上ない。ラグビーでは些細な反則が起きれば、腕を組んで密集した両チームの選手らが一つの集団を形成した後、その中に入ってきたボールを足で奪い合うスクラムの形を作る。ひょんなことから、韓国では取っ組み合いのためのデモ方法として多く使われている。

◆最大野党新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表が、党内大統領選挙候補級の関係者たちに、「希望のスクラム」を提案したが、その反応は芳しくない。一緒に前面に乗り出して、変化や革新を模索しようという趣旨だが新政治連合の安哲秀(アン・チョルス)議員は、「内容も知らないまま参加するのは難しい」と断った。スクラムは、共同目標の下で団結すればするほど力がつく。大統領選挙を控え、それぞれ思惑が異なる政治家たちが、「誰のための政権交替か」を突き詰めず、思惑無しにスクラムを組むことができるだろうか。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com