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[オピニオン] 「犬はあくまでも犬」

Posted June. 13, 2014 03:37,   

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「うちの子が近頃あまり食べなくて心配です」。「うちの子がやっとトイレに行くようになりました」。「うちの子は足音を聞いただけで私だと分かります」。うちの子とは人間ではなく犬だ。私の家にも「ヘンウン」という名前の元気な4才のオスのボーダー・コリーがいる。帰宅して門を開けて入ると、しっぽを振って喜ぶこの犬に真っ先に言う言葉が「お母さんが帰ったよ」だ。休日にヘンウンがボールをくわえて来て遊ぼうとせがむと、コンピュータの前でごろごろしていた子どもたちが小言を言われる。「今日はお兄さんとお姉さんが遊んであげなさい」

コメディアンの全裕成(チョン・ユソン)氏は、2009年に初めて慶尚北道青島(キョンサンプクト・チョンド)で伴侶動物のための音楽会を開いた。その後毎年「伏日(夏の極暑の期間)」に開かれるこの音楽会を見に1万人が集まり、青島の名物になった。全氏が犬にクラシック音楽を聞かせるという奇抜なアイデアを思いついたきっかけは、タレントの崔有羅(チェ・ユラ)氏の「うちの子(犬)が具合が悪くて病院に行ってきた」という言葉だという。犬も家族なら、文化生活を共にすることのどこがおかしいのか。

いつからか人々は伴侶動物の母親、父親の役割をして幸せを感じる。犬の学名「カニス・ルプス・ファミリアリス(Canis lupus familiaris)」に「家族(本来は親近という意味)」を示す「ファミリアリス」が含まれていることは言うまでもない。愛する伴侶犬に有機農のえさを与え、定期的に美容院に連れて行き、かわいい服を着せる。お母さん、お父さんが外出している間、一人で家を守る「子どもたち」のために、犬専用の放送チャネルまで登場した。このように惜しみなく与える人のもとで犬も幸せだろうか。

今年初め、EBSのドキュメンタリー番組「一つだけの地球」は、「あなたは犬を飼ってはならない」という挑発的な問題提起をした。主人と一緒にいる時は愛らしい伴侶犬が一人で家にいる時は180度変わる。やたらに物をかみちぎり、どこでも用便をし、オオカミのように泣き叫ぶ。犬の訓練士のカン・ヒョンウク氏は、「困った状況で自分の場所を知らせるために仲間を呼んだり主人を探す声」と説明した。このように分離不安症の犬はひどい場合、自分の生殖器や足の指をかみちぎったりもする。

番組で最も印象的な内容は、動物学者スティーブン ブディアンスキーの言葉だ。「犬はあくまでも犬です」。「犬にまるで人間のように接し、『うちの子は幸せだ』と信じる人が多い。単なる錯覚だ。分離不安症で敏感で乱暴になった犬を治療する方法は抱きしめてなでることではなく、外に連れて行って運動させることだ。犬は犬のやり方で愛さなければならない。カン・ヒョンウク氏は、最近「あなたは犬を飼ってはならない」というタイトルの伴侶犬教育書で、「玩(もてあそ)ぶ」という意味の「愛玩犬」という言葉から使わないようにしようと主張した。

「友人であり家族なら、子犬を塀の中に閉じ込めて寝かせないだろう。首にリードをつけて一生を縛っておいたりもしないだろう。マンションに引っ越すからと捨てたりしないだろう。・・・子犬はあなたを友人と考えるが、なぜあなたは自分の孤独を解消し、誇示したい欲求を満たすために子犬を飼おうとするのか。子犬をなぜ子どものおもちゃとして飼おうとするのか。もしかしてこれを読んでも気持ちが変わらないなら、あなたは犬を飼ってはならない」。

犬だけだろうか。猫やうさぎ、鳥、ハムスター等々、愛玩という理由で人間と暮らすことになったすべての生命体がこれに該当する。我を振り返り、良い「お母さん」でなかったことを反省する。