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名ばかりの院長の「事務長病院」、当局の現場確認を求める声強まる

名ばかりの院長の「事務長病院」、当局の現場確認を求める声強まる

Posted May. 31, 2014 07:42,   

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先月から強化された現在の療養病院の安全基準が、病院の現場では事実上無用の長物のケースが多いことが、調査の結果分かった。実際、使用が不可能なのに、規定のみ守るため、形ばかりの安全設備を設置しているところが多いからだ。そのため、政府は書類だけで管理監督せず、実際、現場点検に乗り出すべきだという指摘が持ち上がっている。

●無用の長物となった安全基準

29日、東亜(トンア)日報の取材陣が訪れたソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)のA療養病院。

消防防災庁の「避難器具の火災安全基準」の公示は、医療施設の場合、各階の床面積500平方メートルごとに、避難器具を設置するように定めている。階別に設置しなければならない避難器具も異なる。4〜10階の場合、救助袋や避難用トラップ、乗降式避難機などを設置しなければならない。

A療養病院の場合、非常用避難器具として、救助袋を備えていた。救助袋とは、底が開けられている袋の形の長い袋であり、火災の際、建物の上階にいる人が、その中を滑って降りてくるやり方で避難する器具だ。当然、人が通れるサイズの窓から使うことができるが、A療養病院の場合、使うことができなかった。大半の窓が、引き戸式ではなく、換気用として一部のみ、押して明ける方式だったためだ。人が抜け出ることのできない窓に、救助袋のみあるわけだ。救助袋を製作しているメーカーの関係者は、「救助袋は普通、窓や屋上に設置して使う」とし、「人の通れない窓で、救助袋をつかうなんて、話にならない」と話した。A療養病院だけではない。多くの療養病院の窓が、A療養病院と同じ形なためだ。患者らの自殺や落下事故防止のためだ。

京畿道(キョンギド)のとある療養病院の院長は、「自殺を試みる患者らがたびたびいたので、仕方なく、小さな窓や全開できない窓を設置している」とし、「実際、かつてある療養病院で子供らに負担を掛けたくないと思って、飛び降り自殺をした高齢者がいた」と語った。避難梯子や避難ロープを備えている療養病院は多かったが、同じ理由から事実上、使用が難しかった。

上下階間のスロープの安全手すりなども同じだ。

現在の医療法・施行規則は、各療養病院が上下階の間に、スロープを設置し、床の段差を外すよう定めている。しかし、ソウル銅雀区(トンジャクグ)のB療養病院の場合、非常口を冷蔵庫がふさがっており、移動が難しかった。非常脱出口が、ものなどでふさがっているのだ。

また、法律で定めている通り、多くの療養病院が、廊下や階段、トイレ、バスルームなどに、安全手すりを取り付けているが、実際は利用が難しいところが多かった。安全手すりの前に、車椅子やリハビリ器具など、さまざまな品物を積み上げられていたところが多かったからだ。

●介護人は、安全教育の対象から外されている

保健福祉部(福祉部)は、医療機関評価認証院を通じて、療養病院の安全管理を点検している。

認証項目には、療養病院の職員らへの安全教育も含まれている。しかし、教育対象に、介護人は外されている。療養病院で、医師や看護師、行政職員より、数の面で最も多い職種は、ほかならぬ介護人だ。介護人は、正社員ではなく、安全教育で外しているというのが、福祉部の説明だ。

ソウル銅雀区のC療養病院の場合、患者40人余りに対し、看護師は午前3人、午後3人だけだ。その代わり、各部屋ごとに、介護人らが患者らの世話をしている。火災が起きれば、介護者らの手助けが欠かせないが、いざ、彼らは全く安全管理教育を受けていない。

韓国保健社会研究院のキム・ジンス研究委員は、「療養病院には、行動の不自由な長期入院患者が多いので、事故発生の際は、他人の手助け無しには、抜け出すことができない」とし、「事故が起きれば、どう避難するか、患者の立場できめ細かく設計し、管理運営ルールを大幅に強化しなければならない」と話した。