♯1=金ヨンヒ(34、ソウル麻浦区)さんは23日夕方、借家の仮契約を行い、その代金として5万ウォン札20枚を大家さんに手渡した。かつてなら、1万ウォン札100枚を束ねた分厚い札束を用意しなければならなかったが、代金の支払いが簡単になった。
♯2=東亜(トンア)日報記者は同日午後、タクシーに乗り、料金が3000ウォンぐらいだった。車から降りながら、5万ウォン札を手渡した。すると、運転手の李ジンヒョクさん(45)は、あきれ顔になった。李さんは、「これからは1万ウォン札も、余裕を持って用意するつもりだが、おつりへの負担も出てくるだろう」と話した。
36年ぶりに高額札の5万ウォン札が市場に供給されたことを受け、日常生活で変化が現れている。多くの人はお金の持ち歩きが便利になったことや、所蔵価値が高いということから注目している一方、一部では予期しなかった不便を訴えたりもしている。
●徹夜で新札を待った人々
韓国銀行(韓銀)は同日午前6時から、金融会社の本店をはじめ、韓銀と直接取引を行う銀行の支店に、5万ウォン札3292万4000枚(1兆6462億ウォン)を供給した。ソウル中区小公洞(チュング・ソゴンドン)の韓銀本店の造幣局・貨幣交換窓口には、並んだ順に配らないという事前PRにもかかわらず、15人が徹夜で野宿しながら、順番を待った。
22日午後9時から、一晩中、韓銀の営業開始を待ったというチョ・ジョングクさん(66、日雇い労働者)は、「並んだ順に配らないことは聞いていたが、5万ウォン札を韓銀から、最初に受け取りたくて徹夜した」と話した。一人の市民は、午前2時ごろ、100万ウォンの入ったカバンをひったくられそうになったものの、一緒に列に並んでいた人々の手によって犯人が捕まり、カバンを取り戻すことができた。
銀行が営業開始した午前9時から、5万ウォン札を求める人々が銀行を訪れ始め、午後に入ってからは、一部の銀行支店の現金自動預け払い機(ATM)の前には、長蛇の列ができた。外国系銀行に勤めているファン・ユミさん(26)は、「発行初日の早い番号の札をもらったら、いいことが起こりそうな気がする」と話した。
現在、5万ウォン札を下すことのできるATMは、各支店に1台しか設置されておらず、それさえ、一部の営業支店では新しいATMがまだ設置されておらず、顧客らが新札を求めるのは容易ではない。
●銀行の外では、期待と懸念半々
一部では5万ウォン札の供給を受け、お金の価値が下がり、ご祝儀やお年玉への負担が増すことになるだろうという、懸念の声も上がっている。会社員の金スヨン(27、女)は、「ご祝儀は少なくとも5万ウォンは出さなければならないような気がして、負担を感じる」と話した。大邱(テグ)に住むファン某氏(30、女)は、「まだ、慣れていないためか、5万ウォン札はお金というより、商品券のような気がする」と伝えた。
流通業界では新札の供給を受け、消費が増えるものと期待している。ロッテ・デパートは26日、ハンドバックやサンダル、婦人服などのファッション・グッズを5万ウォンで販売するイベントを開くことを決めた。
新世界(シンセゲ)デパートは26日から28日にかけて、毎日先着順で200名に、5万ウォン札を交換し、女性向け化粧品やアクセサリー・セットを5万ウォンで販売する計画だ。新世界・江南(カンナム)店の李ジェジンマーケティング・チーム長は、「札1枚で買える商品が増えたことを受け、顧客らの使う金額は増すだろう」と見込んだ。
韓銀は10万ウォンの保証小切手は徐々になくなり、小切手の発行や保管コストなどが減少することを受け、年間3200億ウォンのコスト削減の効果があるものとみている。
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