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「あなたに会いたくて涙を、会社のためにスマイルを」

「あなたに会いたくて涙を、会社のためにスマイルを」

Posted December. 03, 2005 04:48,   

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小学校の教員だったソンさんに厳しい試練が訪れたのは02年11月。名刺管理のソフトウェアを開発する夫、李寅東(イ・インドン、当時45歳)さんが過労死した。李さんは韓国科学技術研究院(KIST)付設のシステム工学研究所(SERI)人工知能研究部の先任研究員だった。名刺の文字を自動的に認識し、テキストに変換した後、個人情報ファイルに保存する「クルヌン(文字の目)」プログラムを開発した。

その後、ベンチャー企業を設立し、職員40人とともに年間80億ウォン(約8億円)の売上げをあげたが、コスダック登録を2ヵ月後にひかえて、過労で倒れた。ソンさんは、配偶者を失った悲しみにひとりで耐えなければならなかった。長女ヘジンさん(17)は夜中に起きて泣く母親を慰めた。次女ヘインさん(13)と末っ子のヘリョンさん(8)は、父親の不在を実感できなかった。会社は、すぐに動揺した。

研究開発と営業をけん引していた夫が亡くなると、売上げが急減し、10億ウォン(約1億円)にのぼる不渡りさえ招いた。店頭株式市場で活発に取引されていた株式の価格は4分の1のレベルに落ち込んだ。「ふと、夫が私のさまよう姿を、悲しい気持ちで見つめているだろうという気がしました」。ソンさんは18年間にわたる教員生活を放棄し、会社に飛び込んだ。そして、涙で訴えた。「会社がうまくいけば、もう一度呼び戻させていただく」と言って、職員を14人に削減し、研究開発チームだけを残した。

夫のいないスペースは大きかったが、技術競争と販路の開拓に乗り出した。職員たちは、休日を返上し、徹夜作業を行った。文字の認識が100%可能な「ハイネーム」は、こうした努力を経て、1年後にこの世に出た。スキャンして自動的に入力した名刺ファイルを、必要に応じて多様な形式で印刷し、グループや個人別に電子メールを送れる名刺管理ソリューションだ。

「ハイネーム3.0プロ(Hi−Name 3.0Pro)」は、ベンチャー企業が多い大田(テジョン)でとくに人気だった。ベンチャー企業代表の90%ほどが技術力を認め、製品を購入した。11月には韓国国内最大の公営企業である韓国電力公社が、全職員を対象に「ハイネーム3.0」の電子化システムを備えた。今年予測される売上高は20億ウォンで、昨年から10%の伸びを示した。夫のいない会社を運営し始めて3年後に初めて、成長を示したのだ。

同氏は最近、韓国国内の女性最高経営責任者(CEO)たちの物語を編んだ『彼女たちはどうやってCEOになったのか』という本で、夫あてに次のような手紙を書いた。

「あなたの机と椅子、はなはだしきは電話番号までそのまま使っています。時々この荷物があまりにも重くて、迷い、ため息をつく時もあるけれど、私たちの愛の重さに比べれば、軽いと思います。幸せな会社になるように助けてください。そして、子どもたちが健康で正しく成長できるように応援してください」



doyoce@donga.com