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斗山の金ドンジュ、引退を覆して復帰

Posted January. 10, 2005 23:04,   

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彷徨していた金ドンジュ(29、斗山ベアーズ)が足を運んだ所はある工事現場だった。

「何かやらなければ気が狂っちゃいそうで、きつい仕事をやりたかった」という。仁川(インチョン)の先輩の家に泊まっていた金ドンジュは、朝6時から午後まで仁川市内のマンション建設現場で働いた。煉瓦も運び、あれこれ力仕事をしながら汗を流した。

運動服姿で顔が知られることを心配し、わざと帽子を深くかぶった。一緒に働いていた何人かは彼のことに気づいたが、ぎこちなくならないためにわざと知らん振りをしていたそうだ。

ひと月に2000万ウォン以上の給料をもらっていた金ドンジュがもらった日当は6万5000ウォン。1週間で35万ウォンを稼いだ。しかし、彼は「この世で最も貴重なお金だった」と話した。

「本当に大変でした。これまで、楽にお金を稼いだもんだと思いましたね。野球の大切さも改めて実感しました。僕にうまくできることは野球しかなかったんです」

金ドンジュは10日、野球選手として戻ってきた。昨年10月19日、いきなり引退宣言をしてから2ヵ月ぶりのことだ。金ドンジュは斗山(トゥサン)ベアーズの仕事始め式が行われた同日午前、蚕室(チャムシル)野球場を訪ね、道具を支給してもらって、金ギョンムン監督から主将を任せられた。チームのリーダーとして新しく出直すように、という意味だった。

同日午後、斗山の主将としてプロ野球選手協議会の定期理事会に出席した金ドンジュに、ソウル市内のある日本料理屋で会った。久しぶりに合わせた彼の顔にはまだ悩みの影が残っていた。体重も6〜7kgも減ったという。

「野球をやめると言い出したのは急な決定ではありませんでした。昨年の夏から悩んでいた問題だったんです。手首、脚、腰など体中が痛くて、また、家庭問題まで重なって、物凄くストレスが強かったです。運動も何もかも嫌になりました」。

球団に引退決定を知らせてから2ヵ月間、金ドンジュはたくさんのことを経験した。土方もやって、焼酎も飲みながら、何とかその日その日を凌いできた。しかし、結論はやはり野球だった。

「きつい生活をされている方々と過ごしながら多くのことを感じ、糖尿病で苦しんでいる母(李ジョンイム、57)の涙に胸が痛みました。個人的な問題で野球を止めるのはとてももったいないという気がしました」。

金ドンジュは出回っている噂については首を横に振った。

「お金をもっと儲けるためですって?そうした考えは微塵もありません。監督は、『僕のことが嫌なのか』と誤解されていました。監督とは男らしくすっきり誤解を解きました。ただ死にたくなるほど苦しい時があるじゃないですか。一段階成熟するためにそうやったんだと理解してください」。

金ドンジュは年俸を球団側に白紙委任した。11日にはチーム訓練に初めて参加して、煉瓦の代わりにバットを取る。



金相洙  ssoo@donga.com