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増大する「スーパー円安」リスク、輸出企業への支援策を総動員せよ

増大する「スーパー円安」リスク、輸出企業への支援策を総動員せよ

Posted July. 10, 2023 08:39,   

Updated July. 10, 2023 08:39

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円安が長引くにつれ、韓国経済へのしわ寄せが深まっている。8年ぶりに最低水準に落ちた円安によって、海外で日本と競合する韓国製品の価格競争力が低下している。円に対しウォン高が進むと、日本を訪れる旅行客が増え、対日旅行収支の赤字が急増している。円安を誘導する日本の通貨政策が、韓国経済の回復の足を引っ張っている。

先週水曜日、円相場は取引中に100円=897ウォンまで円安ウォン高が進んだ。円に対するウォン相場が100円=800ウォン台に円安ウォン高が進んだのは、2015年6月以降初めてだった。円相場は今年に入って9%ほど円安が進み、主要10ヵ国の通貨の中で一番通貨安が進んでいる。コロナのパンデミックが終わり、他の多くの先進国が基準金利を引き上げて市場の通貨量を減らす中でも、デフレ(物価下落)に長く苦しめられた日本は一人でマイナス金利政策を固守しているためだ。

足元に火がついたのは韓国の輸出企業だ。2010年代以降、競合品目が大幅に減ったとはいうが、依然として両国は自動車や鉄鋼、石油化学、繊維などの分野で激しく競争している。日本企業は、安くなったドル建て価格をテコに積極的に低価格攻勢に乗り出し、収益性が改善されたものの、韓国企業は価格競争力の弱化で苦しんでいる。

さらに円安で負担が減り、日本旅行に出かける韓国人は急増している。今年の夏休みシーズンの航空券の販売件数は、1位と2位が日本の東京と大阪行きだ。今年1~5月の累積旅行収支の赤字規模は、すでに昨年同期の倍に膨らんでいる。日本現地でTシャツやウイスキーを安く買ってきて、国内で高く売るポッタリ商人(衣類や雑貨など生活必需品を白やピンクの風呂敷に包んで行商)まで再び登場したという。

問題は、このような状況が来年も続く可能性が高いということだ。日銀は当面、現在の金融政策を継続すると公言している。「ミスター円」と呼ばれる榊原英資元財務省次官は、現在1ドル=140円台半ばの円が、来年は1ドル=160円まで円安が進みかねないと見込んでいる。

「スーパー円安」は、すでに輸出低迷の主な原因に挙げられてきたグローバル半導体市場の低迷、中国景気回復の遅れとともに、実質的な危険要因として浮上している。旅行収支の悪化は、経常収支の黒字基調まで脅かす。不利な価格競争力という砂袋をつけて競争する韓国の輸出企業のために、政府は可能な限りあらゆる税制・金融支援策を講じなければならない。