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韓国のアイデンティティを込めた小説、娘に大きくなったら読んでもらいたい

韓国のアイデンティティを込めた小説、娘に大きくなったら読んでもらいたい

Posted March. 20, 2024 08:36,   

Updated March. 20, 2024 08:36

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「韓国のアイデンティティが込められたファンタジー小説を書きたいと思っていました。4歳の娘が大きくなったら読んでほしいです」

米紙ニューヨーク・タイムズのベストセラーになった児童小説『The Gifted Clans』シリーズを書いた韓国系ニュージーランドの小説家、グレイシー・キム(38・キム・ソンウン)さんが最近、駐韓ニュージーランド大使館の招待で両国の文化交流プログラムに参加するために韓国を訪れた。18日、ソウル中区にある大使館で東亜(トンア)日報と会ったキムさんは、「韓国文化は物語の材料が本当に豊富で、持ち帰る素材が無尽蔵にある」と話した。

3歳の時にニュージーランドに移住したキムさんは、2019年から作家として活動している。代表作『The Gifted Clans』3部作(2021~23)は、米ロサンゼルスに住む韓国系の魔法使いの少年が繰り広げる冒険を描いた。2010年代生まれの幼い読者に愛され、同紙の児童書部門のベストセラーにもなった。キムさんは、「祖母から鬼と虎が登場する話をよく聞かされた」とし、「私の役割は、自分の独自の感覚を加えて未来の世代に物語のバトンを渡すこと」と説明した。

『The Gifted Clans』には、機知に富んだ韓国の素材がいくつも登場する。魔法の能力を持たない主人公を指す表現は「人(saram)」で、子どもたちは米国の代表的な韓国マーケットチェーン「Hマート」のチキンコーナーを通じて魔法の寺院に入る。「鬼神(gwisin)」専用のモバイルメッセンジャーで亡くなったおばあちゃんと話をしたり、東医宝鑑の著者許浚(ホ・ジュン)が治癒能力を持つ「熊の種族」の守護神として登場する。

キムさんは、思いがけないきっかけで作家の道を歩むことになった。ニュージーランドの外交官として約10年間、中国や台湾などで勤務した後、17年に北京で「今すぐ手術しないと視力を失う」という診断を受けた。手術後、数ヵ月間、目がよく見えない生活を送り、「大人になってから忘れていた好奇心と魔法に目覚めた」と話す。

最近、英米圏の文学や映画など文化界全般に吹き荒れている「コリアン・ディアスポラ(移民)」ブームについては、「ディアスポラを直接経験する人は多くないが、承認と所属に対する欲求は普遍的な感情なので、響くものが大きいと思う」と指摘した。キムさんは、「『The Gifted Clans』も、家族に認められ、魔法の世界に所属しようとする主人公の成長期を扱った」とし、「移民の物語の波が豊かになったおかげで、楽しさと魔法について書くことができた」と感謝した。『The Gifted Clans』は今年、ハングルにも翻訳され、国内で出版される予定だ。


イ・ジユン記者 asap@donga.com