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時間のモンスター

Posted November. 05, 2020 08:55,   

Updated November. 05, 2020 08:55

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確かに奇妙な絵といえる。それぞれ別の方向を眺める三人の男の頭が、一カ所に描かれている。左は長いひげの老人、真ん中は濃いヒゲの中年男、右は金髪の若くてハンサムな青年だ。その下には3匹の動物の頭が男たちと同じ方向に描かれている。三人なのか、頭が三つ付いたモンスターなのか分からないし、動物たちの登場理由も気になる。画家はなぜ、この謎のような絵を描いたのだろうか?

この絵を描いたティツィアーノは、16世紀、ヴェネツィアで最も有名な画家であり、国際的に活動した最初の画家だった。宗教画、神話画、肖像画、さらには寝室のヌード画まで、すべてに長けていたため、神聖ローマ帝国の皇帝カール5世をはじめ、ローマ法王とイタリア君主たちまでを顧客にしていて、当代最高の評判を享受した。成功の道だけを走ってきた彼が、老年に描いたこの絵は、人生の3つのステップを動物に例えた寓意画だ。光が入ってくる右は若い青年期、中は活気に満ちた中年期、左は老年期を意味する。青年の犬は忠誠心と未成熟を、中年のライオンは勇気と強さを、老年のオオカミは貪欲と狡猾さを象徴する。経験豊かで老練な老年を、なぜ狼にたとえたのだろう?よく見えないが、絵の上部に刻まれたラテンフレーズから、画家の狙いを推測できる。「昨日から学びを得て、明日を台無しにしないように、今日、慎重に行動しなさい」。過去の過ちを鑑みて、貪欲によって台無しの人生にならないように、現在を慎重かつ賢明に生きろというメッセージだ。

タイトルと違って、罪と懺悔の寓話として解釈されることもある。老人の顔がティツィアーノに似ているので、若い頃の軽率と過ちを悔いる自画像だという。生きていれば誰でもミスをし、過ちもする。懺悔するのが正しいが、合理化を選ぶことも多い。さらに、人間は忘却の動物ではないか。不利な過去はよく忘れる。多分、画家はこの奇妙な肖像画を通じて、過去を忘れた時間のモンスターになってはならないという警告をしたかったんのではないだろうか。