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度を越えた脱北者蔑視も理念攻勢も止めるべきだ

度を越えた脱北者蔑視も理念攻勢も止めるべきだ

Posted July. 25, 2020 08:36,   

Updated July. 25, 2020 08:36

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23日に開かれた李仁栄(イ・インヨン)統一部長官候補に対する国会人事聴聞会で、「李氏はまだ主体思想信奉者なのか。いつどのように思想転向したのか探せなかった」と質問した、元駐英北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)議員に対して、与党「共に民主党」の議員ら一斉に非難攻勢を浴びせた。同党の朴洸オン(パク・グァンオン)最高委員は24日、「思想転向を公開宣言しろということは、過去の人民裁判であるような妄言」と述べ、薛勲(ソル・フン)最高委員は、「反憲法的妄言に対して、国民に謝罪しなければならない」と加勢した。

大統領府行政官出身の文貞福(ムン・ジョンボク)議員はSNSに、「北朝鮮で優遇されて暮らし、逃避した人が言うことではない。変節者のあがきだ」と非難した。後でこの投稿は削除されたが、命をかけて北朝鮮の独裁体制を脱し、自由大韓民国に来た太氏を「変節者」と非難することは、国会議員の発言だとは到底信じられない。

与党議員らが太氏に「民主主義をもっと学ばなければならない」と皮肉り、脱北者を異邦人扱いして蔑視する行為が容認されてはならない。国内の脱北者の数が約3万人に達し、元脱北者が堂々と国民の代表になれるほど多様性と包容性を見せた韓国民主主義に対する冒涜だからだ。

反人権的な北朝鮮体制を直接体験した太氏としては、李氏が、民族解放(NL)路線が主導権を握っていた全国大学生代表者協議会議の第1期議長の時に拘束された過去に疑問を抱いただろう。そのような脈絡で、北朝鮮政権と対する統一部長官として適格者なのか疑問を提起するとしても、「思想転向」などの用語で追及したことは適切でなかった。北朝鮮体制や韓半島の状況に対する李氏の過去の認識がどうだったのか、現在はどうなのか厳密に検証することは必要だが、過去の独裁政権の理念攻勢のように質問に先入観を持って烙印を押すようなやり方は避けなければならない。思想転向制度は、独裁政権時代、民主化運動を抑圧する手段で悪用されたことがあり、憲法が保障する思想の自由などを侵害するという論議の末、1998年に金大中(キム・デジュン)政府の時に廃止された。

元脱北者で初めて小選挙区から当選した太氏と、北朝鮮政策を総括することになる李氏と与党の双方が自由民主主義という憲法の価値と精神に同意するなら、今回の事案を「引っかかった」と言わんばかりに政争の具にしてはならない。北朝鮮が望む国内対立をするのではなく、互いの認識の相違を共有して歩み寄らなければならない。