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[社説]韓米通貨スワップの推進、そのやり方が間違っている

[社説]韓米通貨スワップの推進、そのやり方が間違っている

Posted March. 01, 2016 13:55,   

Updated March. 01, 2016 14:13

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柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相は、2010年2月以降中止されている韓米通貨スワップについて、「再び交わすのが理に適っている」と語り、「必要な時期になれば、米国に議論を持ちかける用意がある」と話した。先月27日、中国上海で開かれた主要20か国(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席後、記者らと会った席でのことだ。その前日、中国人民銀行の周小川総裁との面談後、期限切れまで20か月も残っている韓中通貨スワップの延長交渉に早めに踏み切ることにしたと明らかにしたのに続き、二日連続して通貨スワップを「成果」として出したのだ。

昨日、外国為替市場での対ドルウォン相場が、5年8か月ぶりに1ドル=1240ウォン台を超えるなど、為替相場が不安定な状況の中、通貨スワップは現在、政府が外貨流出に立ち向かえる最適のカードだ。2008年のグローバル通貨危機を無事克服できたのも、李明博(イ・ミョンバク)政府が同年10月から、1年4ヶ月間維持していた300億ドル規模の韓米通貨スワップの影響が大きかった。在韓米軍が北朝鮮の挑発を抑止するのと同じ効果だ。

通貨スワップは二国間契約であるだけに、実際の交渉では立場が弱いほど、やや低姿勢で交渉に臨まざるを得ない。韓国は、中国や豪州、アラブ首長国連邦、マレーシア、インドネシアなどと通貨スワップを交わしている。そのうち、一部の国と交渉を交わす際、韓国が相手国より積極的だったとはいえ、通貨スワップの推進事実を予め公開したことはなかった。激しい力比べで押されれば、通貨交換比率や別の交渉で、立場が不利になることもありうるからだ。

柳副首相も、「韓国が厳しい状況にあるので、米国となにかを試みようとしているというシグナルを市場に与えるのではないか気になる」と語ったが、すでに市場からは懸念が出ている。政府当局者が原論的発言だと鎮火に乗り出したが、経済チームの最高責任者が公に口にした言葉を取り消すことなどできない。先月のGG20会議で、各国は通貨政策などと関連して、「通貨政策だけではバランスの取れた成長の実現ができない」という内容の共同宣言をまとめたにもかかわらず、グローバル通貨戦争を食い止める具体的な共助方案を引き出すことはできなかった。直近では今月から各国は、それぞれ生き残りのための通貨政策を我先に打ち出すことになるだろう。切り札を見せてから交渉に臨む「ナイーブな戦略」では、この激しい為替戦争で苦戦を免れない。