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後悔のない締めくくり

Posted February. 05, 2014 03:28,   

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どの分野であれトップになることは難しい。多大な努力が必要であり、運も伴わなければならない。逆説的だが、頂上から降りるために再び苦しい頂上に挑む人がいる。7日に開幕するソチ冬季五輪に出場する「フィギュアの女王」金妍兒(キム・ヨナ=24)がその主人公だ。

金妍兒は先月の記者会見で今の心境を淡々と明らかにした。「多くの人が五輪2連敗の話をしますが、個人的にはそれに重点を置いていません。どんな結果であれ満足です」。「18年間毎日のように練習してきたので、今は時間が早く過ぎてほしいと思っています」。

金妍兒はできるだけのことをした。いや、国民の期待を超えた。4年前のバンクーバー冬季五輪の歓喜はまだ記憶に新しい。夢(五輪金メダル)を達成した彼女は引退を望んだが、後輩に五輪出場の機会を与えるために新たな夢(平凡な人生)を先送りした。氷上に復帰した彼女は、2年間のブランクの後、2013年の世界選手権で優勝し(五輪チケット3枚)、韓国女子フィギュアにソチ五輪チケットをさらに2枚もたらした。

去る時期を自ら悟ることは容易ではない。そして未練なく引退することは実に難しい決断だ。スポーツスターの薬物問題は、誘惑(富と名誉)を振り切れずに引退のタイミングを逃したためだ。

米大リーグを代表するスター、アレックス・ロドリゲス(38=ヤンキース)は最近、薬物協定違反で今季全試合の出場停止処分を受けた。ツール・ド・フランスで7回連続優勝した「サイクルの皇帝」ランス・アームストロング(42=米国)は巧妙なドーピングが発覚して2年前に永久追放された。両選手いずれも頂上を守りたいあまり姑息な方法を使った代表的なケースだ。

一方、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)とロレーナ・オチョア(メキシコ)は、米LPGAツアーで注目を受け、頂上にいながら突然引退を表明した。実に対照的だ。

2018年には、平昌(ピョンチャン)冬季五輪が開かれる。ところで冬季五輪の花でありハイライトであるフィギュアとアイスホッケーには開催国自動出場権の恩恵がなく、「他人の祭り」になるのではないかという憂慮の声が早くも聞こえている。特に「ポスト金妍兒」への心配が大きい。最悪の場合、韓国女子フィギュアは1人も出場できないことにもなりかねない。

だからといって、その時また金妍兒にSOSを送ることはできない。実効性も不透明だ。女子フィギュア選手としては還暦を過ぎた年齢で軍隊に3度行けと強要することも同然だからだ。

「1万時間の法則」という言葉がある。あることに1万時間投資すれば頭角を現わすという意味だ。1日8時間練習したという金妍兒は、およそ3万時間以上投資して世界の最高に立った。「パク・セリキッズ」は米LPGAツアーを牛耳っている。韓国女子フィギュアも世界の頂上に立つ可能性があることを金妍兒がすでに立証した。鍵は「金妍兒キッズ」の意志だ。

別れは自然の摂理だ。詩人李炯基(イ・ヒョンギ)の「落花」という詩には、「行かなければならない時がいつなのか/明確に知っている人の/後ろ姿がどれほど美しいことか/春の季節/激情を耐え抜いた/私の愛は散っている//入り乱れる落花/決別が成す祝福に包まれて/今は行かなければならない時」という1節がある。頂上でのすばらしいフィナーレはスポーツスターの希望だ。金妍兒はソチ冬季五輪が「本当の引退の舞台」と何度も強調した。金妍兒選手!これまで大変な苦労があった。後悔のない締めくくりを期待する。