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[オピニオン]避妊薬と女性の健康権

Posted June. 09, 2012 07:20,   

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1952年、米国の生物学者グレゴリー・ピンカスは、ノルエチンドロンという合成物質でウサギとネズミの排卵を抑制した。ピンカスは、産婦人科の医師ジョン・ロックの力を借りて、これを錠剤にした。20世紀最高の発明品とされる避妊薬の出現だ。この薬の作動メカニズムは、人体が妊娠状態にあると脳下垂体をだますのだ。1960年、米食品医薬品局(FDA)が錠剤の使用を承認し、女性は有史以来初めて「望まない妊娠」の恐怖から解放された。

◆初期の避妊薬はホルモン濃度が強く、吐き気などの副作用が強く、乳がん発病の比率も高かった。今の避妊薬は、ホルモン濃度が以前の10分の1以下に減り、副作用もはるかに減った。家族計画を推奨した時期には、避妊薬は韓国で一般医薬品に分類されたが、世界的な傾向は違う。いくら安全性が高まったとしても、避妊薬も薬品であるため、副作用がないわけではない。事後に1回服用する事後避妊薬と違って、事前避妊薬はほかの避妊法を使わない場合、可妊期間に服用し続けなければならないため、最高の安全性が要求される。

◆食品医薬品安全庁が12年ぶりに医薬品を再分類し、事後避妊薬は一般医薬品に、事前避妊薬は専門医薬品に分類した。韓国女性団体連合は、「事前避妊薬を専門医薬品に分類することは、女性の妊娠決定権を奪うことだ」と反対する。大学総女子学生会は、学校ごとに意見を出している。高麗(コリョ)大学は、「女性の性的決定権を侵害する」として反対したが、延世(ヨンセ)大学と漢陽(ハンヤン)大学は、「誤用・乱用を減らすことができる」と歓迎した。避妊薬や避妊教育が婚前の若者の性生活を乱すという証拠はない。学生時代の妊娠は、学業の継続を困難にする恐れもある。

◆女性の性的自己決定権と健康権は、いずれも重要な価値だ。米国、カナダ、欧州の多くの国家は、処方せんを受けて事前避妊薬を服用する。スウェーデン、ノルウェーなど性意識が開放的な国家は、事前避妊薬を専門医薬品に分類するものの、青少年に主治医を変更する権利を与える。娘が主治医を変えたと言えば、両親は娘が性交渉をしていると認識する。望まない妊娠を防ぎ、女性の健康を守って、プライベートも保護する保健システムだ。韓国も、避妊と女性の健康権を同時に満足させる案を講じなければならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com