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[オピニオン]コーヒー共和国

Posted December. 19, 2011 07:46,   

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人間に活力を与える野生コーヒーの覚醒効果を初めて発見したのは、アフリカ・エチオピアの人々だった。コーヒーの栽培を本格化させたのは、アラブ世界だった。酒は理性を麻痺させ、隠れていた欲望や感情を現せる感性の飲み物だ。逆に、コーヒーは、頭を覚醒状態にし、考えさせる理性の飲み物だ。カフェインのためだ。アラブのイスラム圏では、酒を禁じる代わりに、コーヒーを代用飲料として認めたようだ。欧州にコーヒーが広がる過程も、合理主義の拡大と軌を一にしている。

◆1511年、メッカの保守的宗教指導者らは、コーヒーが広まると、コーヒーの販売屋消費を禁ずる法令を公布した。カフェインに中毒された住民が反発すると、オスマントルコスルタンセレム1世は、コーヒー禁止令を廃止した。1532年、カイロでもコーヒーショップが弾圧を受けたが、消費は減らなかった。最も劇的な出来事は、1605年に起きた。一部のカトリック教徒らが、イスラム教徒が主に飲んだコーヒーを「悪魔の飲み物だ」と、法王庁に告発した。法王・クレメンス8世は、判断を下すため、コーヒーの味見をした後、禁止どころか、コーヒーに洗礼まで施した。音楽家、バッハは、コーヒーに「カンタータ」を捧げた。

◆韓国人の中で、一番先にコーヒーを飲んだ人は、高宗(コジョン=朝鮮の第26代王)皇帝だった。1895年、明成(ミョンソン)皇后殺害事件後、高宗皇帝がロシア公使館に避難していた時代、ロシア公使、ウェーバーの勧めで、コーヒーに入門した。作家、金琸桓(キム・タクファン)は、『梅泉野錄』の中で、高宗毒殺陰謀事件の首謀者である金鴻陸(キム・ホンリュク)のエピソードを見て、霊感を得て、高宗皇帝にコーヒーを入れてくれた「タニャ」を主人公にした小説、『ノソア珈琲(ロシアコーヒー)』を書いた。高宗皇帝が、朝鮮・通訳官の娘としてロシアに渡り、詐欺師になったタニャとコーヒーを飲んでいたところ、そっと唇を触れるシーンが出る。

◆今年のコーヒー輸入額が最高値を記録した。昨年、初めて3億ドルを突破したが、1年後に5億ドルを超え、コーヒー共和国といっても過言ではない。砂糖やクリームの粘っこいインスタントコーヒーや缶コーヒーから、ドリップコーヒー、抽出コーヒー、カプセルコーヒーに至るまで、コーヒー文化も目覚しく進化した。ある就職ポータルサイトが、会社員2065人を対象に調査したところ、1日平均飲むコーヒーは3.4杯で、88%がコーヒーを飲まなかった時、禁断現象を見せた。コーヒーは単なる飲み物を超え、我々の生活文化として定着している。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com