Go to contents

ニューハンプシャー州で会った民意、分裂した米の赤裸々な現住所

ニューハンプシャー州で会った民意、分裂した米の赤裸々な現住所

Posted February. 17, 2020 08:29,   

Updated February. 17, 2020 08:29

한국어

雪が積もった米ニューハンプシャー州マンチェスターの森のそばの2車線道路は静かだった。しばらく何も話さず運転していたウーバーのドライバー、ロバート・フェイガンさんは、トランプ大統領の話をすると、突然言葉が多くなった。

「さらに4年? ノー!彼が再選すれば妻は心臓病になるだろう。生きてゆけない。そんなに長く耐えられない」

「なぜそれほどまでに大統領を嫌うのか」という質問に、この60代の白人男性は、トランプ氏の人種差別発言と「ウクライナ疑惑」、ツイッターを挙げた。「彼に票を入れることは、犯罪者を選ぶのと同じ」と言ってハンドルをドンドン叩いた。平凡な市民があのように現職大統領を嫌う理由があるのかいぶかしく思うほど激しい反応だった。

先週のニューハンプシャー州党員選挙の取材現場で会った民主党支持者の反応は、フェイガンさんと大きく異ならなかった。ニューハンプシャー州の州都コンコードのある投票所で会ったシルビア・フドアン氏は、「私の人生でこのような大統領に会うことになるとは想像もできなかった。彼に対抗する適任者なら誰にでも入れる」と話し、30代女性のトリシア・キングさんは「トランプ氏はすべて嫌い」と手を振った。

これがニューハンプシャーの全般的な民意なのか。いや違う。共和党支持者の反応は正反対だった。民主党候補の遊説に応戦するかのように、同じ日、同じ地域で行われたトランプ氏の遊説の熱気は凄かった。民主党のペロシ下院議長を「監獄に入れろ」という1万2千人の連呼は狂的だった。遊説場が満杯で入ることができなかった数千人は外に設置された大型スクリーンのトランプ氏に目を向けた。真冬の暗い夜の寒さの中で、「TRUMP」と書かれた彼らの赤い帽子の波が鮮明だった。遊説場で会ったロバート・エムフィーさんは、「あのように率直でよどみのない大統領を見たことがあるか。必ず再選する」と話した。

現実政治は、基本的に51対49に割れることを甘受して権力をつかむゲームだ。政策と政見の違いによって分かれて結集する。しかし、米国の選挙現場で会ったのはこれを越える極端な分裂だった。「トランプ 対 反トランプ」の構図で出てくる憎しみと冷笑、軽蔑だった。

 

政治の分裂は、国民の分裂をもたらす。これは再び政界を二分する悪循環につながる。引き裂かれた民意と政治は、政策に対する理性的な議論を難しくさせる。米国の場合、経済格差や10年間で30%増加した不法移民問題などで悪化した分裂現象が、トランプ氏の弾劾局面を経過して史上最悪の水準に達したとされる。トランプ氏の国政運営に対する共和党と民主党支持者の支持率の相違は、歴代のどの大統領より離れている。

感情的な国論分裂は、政策の推進を難しくさせるだけではない。憎悪犯罪を煽り、社会問題を悪化させる。大統領選が近づけば近づくほど、選挙戦が熱くなればなるほど、相互誹謗と攻撃はさらに強まるだろう。反面教師にしなければならない米国の分裂の素顔だ。


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com