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読まずに着てください

Posted September. 07, 2019 09:12,   

Updated September. 07, 2019 09:12

한국어

文字は、しゃべると消える言語の限界を克服するために誕生した人類の発明です。文字を使用することで記録が可能になり、知識の伝達が行われ、その結果、歴史が作られたといっても過言ではありません。

文字は種類も様々です。ローマ字と漢字、アラビア文字は多数の国で使われています。一方、韓国のハングルを含めて、日本、タイ文字のようにと一国でのみ主に使われる文字もあります。どんなに多くの人が使う文字であっても、学ばなければただの「文盲」になってしまいます。意味のわからない、ただ不思議な形でしょう。

ある時は新しい文字に、既存の文字の新しい形に好奇心と共に不思議な美しさを感じたりもします。小さい頃、占い師の家に書いてあったお守りが全く不思議でした。怖かった時もありました。真っ赤な塗料で殴り書きのように書き下ろした文字が、いや、その形が鬼の角みたいにも見えたんですから。

だから文字は、ファッションと融合されて思わぬ美しさを誕生させたりしますね。特に現代に来て、デザイナーたちが自分のブランドを作り、そのアイデンティティを示し始めたことで、文字は絵のように活用されました。ミニマルで節制されたデザインを追求するファッションデザイナーは、太くて直線的な感じの文字を使ってブランドのロゴを作り、クラシックでエレガントなデザインを追求するファッションデザイナーは、手書き感じの文字を使ってブランドのロゴを作って看板や服の中の隠れたラベルに使いました。

しかし、いつからか隠すことが美徳だったロゴが、次から次へと服の外に出てきました。ブランドを着ることが、本人の経済力と社会的地位を表す時代だった1990年代と2000年代初頭に、文字はほかならぬファッションブランドのアイデンティティでした。胸元と背中に大きく打ち込まれた文字は、「文字ファッション」の序幕を開きました。ありふれたTシャツも文字さえ刻めば、遠くからでも分かる高級ファッションへと誕生しました。

韓国の存在感が日増しに高まり、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の発達で世界と疎通する今、ハングルに対する関心も高まっています。先日、海外の有名ポップスターが「湖南(ホナム)郷友会」と書かれたTシャツを着たパパラッチカットが話題になりました。もちろん、彼は光州(クァンジュ)や木浦(モクポ)とは何の関係もありません。おそらく文字の意味ではなく、文字の形と色がきれいで着たのではないでしょうか?この夏にはハングルを表現ツールにしたファッションアート展も、イタリア・ミラノの歴史的なファッションミュージアム・パラッツォモランドで開催されました。韓国を含めて計6カ国、73人のファッションアーティストが参加した展示は、文字ファッションの新しい実験とも言えます。

ますます激しくなるグローバルファッション市場で、多分文字のファッションは同時代の精神を代弁するファッションメッセンジャーかもしれないし、普遍化しているファッションに新しい個性を加える脱出口かもしれません。また、ファッション業界に活力を吹き込んで、経済的に売り上げを生み出すこともあります。ご先祖様が作ってくださった文字のおかげで、子孫たちが大きな恩恵を受けるような気がします。