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通貨戦争に拡大される米中貿易戦争

Posted August. 07, 2019 07:30,   

Updated August. 07, 2019 07:30

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米国財務省は5日、中国を為替操作国に急きょ指定した。外国為替市場を統制している中国政府が、貿易赤字を減らすために強圧的な人民元の切り上げに乗り出したというのが米国政府の主張だ。米国が追加関税引き上げを発表すると、中国はこれに対して人民元切り下げで応酬し、その結果、人民元の為替相場が1ドル7.1元を突破した。すると、米国は中国が1ドルに7元(破七)を超えるように意図的に操作したと見て、為替操作国カードを取り出したのだ。為替戦争で世界経済はより大きな混乱に陥る危険性が高まっている。

米国の為替操作国指定は、1988年に制定された総合貿易法に基づいたもので、25年ぶりの措置だ。この法律に基づいて、米国は今後1年間、中国と人民元切り上げを巡る協議を行い、協議が妥結されなければ無差別に経済報復に乗り出すことができる。米企業の対中国投資の制限、中国企業の米国調達市場への参加制限、国際通貨基金(IMF)を通じた人民元切り上げ圧力などの措置が予想される。

為替戦争は、特定品目について輸入関税を課すのと違って、通貨そのものを統制するものであり、商品、サービスなど、すべてが両国の経済活動に直接つながるので、関税とは比較できない破壊力を持つ。トランプ政権の発足後に触発された米中貿易紛争が、関税戦争の形で為替戦争に格上げされると同時に、交渉による紛争解決は事実上不可能になり、世界の保護貿易主義が今後長期化することを確認させる措置といえる。

世界経済大国1位と2位の国である米中間の対立と保護貿易主義の強化は、輸出で成り立つ韓国経済に致命打になりかねない。韓国は輸出入が国内総生産(GDP)に占める割合が70%(2017年基準で輸出が38%、輸入は31%)だ。米国は20%、中国は33%、日本が30%に比べると、世界貿易の萎縮がどれほど韓国経済に大きな打撃を与えるかがわかる。

中国が為替操作国に指定されたというニュースで、アジア地域の株式市場は二日連続で下落した。韓国も前日に続いて再び急落し、取引中一時は1900ポイントが崩れ、為替相場も1ドル=1220ウォンまでドル高ウォン安が進んだ。安全資産とされるドルに比べてウォンの価値が落ちたのだ。

米国がすぐに韓国を為替操作国に指定する可能性は高くないが、これまでウォン相場が人民元に同調して動く傾向を示してきたことは留意しなければならない。中国との貿易取引量が多いため、当然の結果だが、米国の見方では異なる場合がある。韓国の外国為替当局も6日、市場の過度な人民元同調に懸念を表明した。当局は、適切な介入を通じてしばらくウォン相場を人民元と差別化する必要がある。今後為替変動に神経を尖らし、モニタリングをしながら激しく揺れる時は、市場介入をせざるを得ない。ますます韓国経済を取り巻く環境が厳しくなっている。